製薬事業所のペストコントロール【第7回】
携わる要員の育成
本稿では、いわゆる “人のクォリフィケーション(適格性)” と人材確保や人材育成について述べる。前回までのペストコントロールに於ける課題、即ち、
ー ペストコントロールに係る法規制
ー 特定の昆虫の制御
ー 査察・監査への対応
を考えていくと、以下のような人材確保のニーズ、教育訓練の必要性につながってくる。
- ペストコントロールに関係する知識を蓄えたい。専門家を育成したい。
- ペストコントロールプログラムを再構築できる人材を育成したい。
- 改善活動を推進できる人材を育成したい。
- 品質リスクマネジメントの考え方を取り入れたペストコントロールプログラムに改善したい。
- ペストコントロール、衛生、異物対策に関係するGMP/GDPを理解したい。
- GMPで求められる品質リスクマネジメント(QRM)、医薬品品質システム(PQS)を理解したい。
- 取引先からの監査、規制当局の査察に対応できる人材を育成したい。
それぞれの教育訓練ニーズにどのように対応したらよいかについては、企業ごとに判断するべきであるが、参考までに幾つかの方法を以下に列挙する。
社内にペストコントロールの専門家を育成する場合、可能ならば採用の段階で昆虫の生態や行動学を学んだ履歴を有する「理学」、「農学」分野の人材を選択すると良い。ペストコントロールプログラムを開発するにあたって必須となる知識は、管理対象となる昆虫類の生態情報(ライフサイクル情報、他の動植物との関係性に関与する化学生態学情報)であり、これらの情報を収集する技量が担当者に無い場合、昆虫類の施設への侵入と繁殖のメカニズムやリスクを科学的、論理的に分析し、整理することが出来ず、その結果、科学的根拠に基づくペストコントロールプログラムもまた構築できない。対外的にも社内に於いても納得が得られる管理プロクラムの開発には不可欠な部分である。
採用段階で専門教育を受けた人材が確保できない場合は、社内の人材の中から素養がある人物を選び、大学・学術団体が提供する講座の受講、あるいは社外の専門家に依頼して教育プログラムを提供してもらうことが早道であろう。数カ月から半年といった単位で取り組み、これを実践と並行して繰り返すことで必要な知識や考え方が時間経過の中で習得できる。ここでいう専門家とは、工場に立ち入って作業を担うペストコントロールプロバイダのことではなく、学術的な知識を有する専門家を指す。
コメント
/
/
/
コメント