「モノづくりの君へ」【第3回】

2012/05/14 その他

【第3回】
1.仕事とは「作業+改善」である
2.改善・改革のコツ
  我々凡人には突然の画期的なヒラメキはムリ
 
 
1.仕事とは「作業+改善」である
 
 前回は幹部・管理者にとって、仕事とは「現状改革」と「問題点解決の連続である」ことを述べ、自身の抱える職場での問題点を30秒以内に言えない幹部・管理者はクビ、その資格がないことを述べた。次に、いよいよ幹部・管理者である貴君が工場の管理・運営をするとき、モノづくりをしている現場の人たちに伝え、工場全員にカルチャーとして定着させることは・・・・・
『仕事とは「作業+改善」である』ということである。
即ち 仕事=作業+改善
 
 改善を伴わない作業は単なる作業であって「仕事」ではない。
 およそ良い「作業」をしている人は沢山いる。しかしながら良い「仕事」をしている人は少ない。
 ◆もっとより良いやり方はないか(より早く、より安く......)
 ◆このやり方で良いのか
 ◆今のやり方は悪い!
 と、たえず考え、作業内容をたえず変えながら取り組んでいかなければならない。
 
 ここでいう"仕事"は製造現場でモノをつくることだけではない。それを支えるスタッフの仕事も勿論である(たとえば、現場のデータに基づいてグラフを作図するのは作業、その図から不具合や状況・問題点を読み取ってはじめて「仕事」になる)。
 また末端の作業者のことだけではなく、管理者・監督者もすべて含んでいる。
 もっと広義にいえば、製造部門だけでなく営業部門等あらゆる部門についていえる。
 
 これが「日本のモノづくりの強み」なのである。
 日本の現場が世界の中で負けない、誇れることは、マニュアルだけの作業でなく、いつも改善・改革を頭に入れて仕事していることである。(QCサークル活動が良い例である)
 この考えは日本の製造業の特徴であり、美徳であり、強みである。近年、外国特に東南アジアにも浸透してきた。10年、20年前は東南アジアでは、モノづくりについて(当時の)欧米の考え方が強く"仕様書通りに作業をすること"が仕事をすることであったが近年QCサークルの導入(しかも時間外で)に抵抗なく、改善が彼らの強みになっている。
 とは言え、この点については、まだ日本人の考えや工夫のレベルが高く(設計まで含めて考える等)先行している。お客様に廉価で品質の良い物を提供し続けることで生き残るにも、このフィロソフィを残し、深化させることを忘れてはならない。
私の経験では、工場内全員にこの考えを定着させ、カルチャーを肌で感じてもらう(活動として目に見えてくるには)までに3年程度は要した。
職階が2ランク程度下の人たちから、日常頻繁にこの言葉が出るようになればしめたもの。その後急速にカルチャーとして定着した。
それまで貴君は、ひたすらバカみたいに(表現が悪くてすみません)日常の様々な局面で「仕事とは作業+改善である」と「言い続ける」ことが大事である。

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執筆者について

野崎 征彦

経歴 名古屋大学大学院応用物理学修了(ノーベル物理学賞受賞の小林誠氏と同じクラスで学ぶ。もっとも、私は入学後すぐに挫折しましたが…)
日本電気株式会社(NEC)において、半導体部門での約30年間の経験を経て、晴天の霹靂で、大正製薬株式会社へスカウト(?)され、執行役員生産本部長としてモノづくりを担当。複数の工場管理を行う。
「半導体」と「薬」という異業種での経験から、我が国の根幹である製造業の「モノづくり」に共通する危機と精神を強く知る。
現在、モノづくりマネジメントアドバイザーとして活動中。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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