いまさら人には聞けない!微生物のお話【第45回】

② 荷札の利用
多くの試験管を試験管立てに並べ、そのままインキュベータに入れて培養などを行う場合の一つの方法として、荷札を利用することをお勧めします。試験管立て程度の大きさの場合、いわゆる豆荷札が使いやすいと思います。
荷札にサンプル名、ロット番号、試験日などを記載して、荷札を針金で試験管立てのワイヤー部に固定することで、試験期間中安全に保持することができます。



 
③ スラント保存 & 爪付きモルトン栓
菌株(好気性菌)を短期間保存する場合、しばしば使われるのが、斜面培養(スラント培養、試験管に寒天培地を分注し、オートクレーブ後に斜めに寝かせた状態で固化させたもの)です。Bacillus属の細菌や、糸状菌類は、このスラント培養にて菌を増殖させ、密封の上冷蔵保存することで、比較的安定な状態を保つことができます。(微生物の種類により、短期間に死滅してしまうものもあります)
この時、培地の乾燥を防ぐために、スクリューキャップ付きの試験管がしばしば使われますが、簡易的には通常の試験管(リム無し)に爪付きのモルトン栓をしたのもが使えます。微生物をスラント培養し、培養後にモルトン栓の周りをビニールテープで簡単に封をすることで、培地の乾燥を防ぐことができます。


 
④ 白金耳
白金という言葉が使われていますが、ほとんどの場合、白金ではなく電熱器用のニクロム線を使います。プラスチック製の使い捨ての白金耳もあります。
ニクロム線を使う理由は、白金より安価であることはもちろんですが、白金は非常に柔らかいため、使い勝手が悪いことが挙げられます。ニクロム線は白金線に比べて、ほどよい硬さがあり、釣菌操作が容易になります。ただしニクロム線は、使い続けると表面が酸化し、使いにくくなりますので、早めに新しいものに替える必要があります。
白金耳は、成形済みの市販品もありますが、自作する場合は、市販のニクロム線の一端をペンチに保持し、バーナーの炎中をくぐらせ、ニクロム線を赤熱させながら引くことで、コイル状の線がまっすぐになります。それを一定の長さ(7~8cm程度)に切断し、片側を先細のラジオペンチで丸めれば出来上がり。円環の大きさは、個人の好みにもよりますが、およそ3-4mm程度が使いやすいと思います。
なお一部の生化学的試験では、ニクロム線を使うとエラーが生じる場合がありますので、その際は、白金線を使います。

 

 

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