【第3回】欧州の医薬品CDMO: 変革とその対応

2023/04/28 その他

CPC (Commercial Pharma Companies ):コマーシャル製薬企業について。

欧州の医薬品CDMO: 変革とその対応
CM Plusでは、製薬産業のサプライチェーンの変化への対応を重要視しています。そこで、一つのソリューションとして、ギリシャのFuliginous Management Consulting社の欧州域内のCDMO向けサービスを紹介します。Fuliginous Management Consulting社 (FMC社)は、ギリシャの老舗CDMOにて、欧州域のサプライチェーン変革期に、ビジネス提案を行ってきた2人のコンサルタントが創立した会社です。
折しも、サプライチェーンの切り替え、株主や投資家の変更、事業立て直しといった課題に、迅速かつ適切にソリューションを提供してきており、日本のお客様にも既に提供済みです。FMC社の知見は、日本のお客様にも示唆がある、と考え、同社の論考を和訳しました。全3回の特集で、日本の医薬品会社様の国際部門、CDMOの海外担当の方々の悩みにお答えできる記事を、掲載していきます。

自社製造設備を持たない製薬会社の外部製造ネットワーク
"...私たちは自社の利益のために働くのか、それともサプライチェーン業界の他のすべての部分の利益のために働くのか..."

➣    CPC (Commercial Pharma Companies ):コマーシャル製薬企業
ヨーロッパで活動する320社の製薬企業のうち、120社以上が自社製造を行わず、主に製品の商業化に注力しています。これらコマーシャル製薬企業(CPC)の大半は、市場で競争激化に直面している伝統的な技術による製品を販売しています。
製造能力を持たないCPCは、販売用の製品を専ら外部の製造ネットワークに依存しています。

➣    CPCの外部製造ネットワークの現状は?
CPCが販売する製品は、ライセンスインや製品買収、自社製品開発によるものです。ライセンスインは、迅速な市場参入、限られた初期投資、最初の数年間のリスク管理が可能なことから、他の2つのモデルよりも好まれているようです。一方、製品の粗利益(GP)率や将来の製品変更やメーカー選択の柔軟性、企業の将来評価については、他の2つのモデルに劣っています。

3つのモデルとも、取引/決定の時点では、製品の粗利益がビジネスを支えており、これは通常数年間続きます。時間が経つにつれ、製品の商業化コストや製品供給コストは増加します(サプライヤーからの値上げ要求、当局からの追加要求など)。一方、一定期間が経過すると価格は横ばいか下落し、製品の粗利益は製品カテゴリー市場の平均を大幅に下回るようになります。この時、株主は次のように自問することになります:

「....私たちは自社の利益のために働いているのか、それともサプライチェーン業界の他のすべての部分の利益のために働いているのか......?」。

粗利益の低下は、ある時点で、”その製品を商品化し続けることが本当に経済的に意味があるのか”、という疑問を生じさせ、将来的な会社の存続についても面白くない感情を抱かせることになります。このような懸念から、CPCは会社のEBITDAを維持するために、(既存製品よりも)粗利益の良い新製品を導入することで前進を余儀なくされることになります。しかし、新製品の粗利益は一定期間後に再び縮小するため、これは終わりのないサイクルです。

必然的に、CPCの製品数の増加は、リストに新しいサプライヤーを追加することになり、複雑さと管理コストの増加につながります。また、リスク管理は、今後のビジネスにとってますます重要なパラメータとなります。
比較的少数のCPCの製品数を調査した結果、次の3つの主要な発見がありました。

  1. あるビジネスが多数のサプライヤーに拡散すると、サプライヤーごとのCPCの重みは低下します。このことは、サプライヤー側のCPCに対する関心が低下することにつながる。
  2. 同じ製品技術の製品に対するサプライヤーが多数存在すると、潜在的なシナジー効果も得られないため、機会損失がより大きくなる可能性がある。
  3. 受託製造がコアビジネスではないサプライヤーを使用すると、柔軟性が制限され、製品の競争力が低下し、ある時点で緊急に新しい拠点を見つけなければならなくなるリスクが高くなる可能性がある。

上記のような「外部製造ネットワーク」の状況は、主に次の3つの要因が組み合わさった結果であると思われます:

  1. コスト管理をせず、トップライン (売上)を伸ばすことに全力を注ぐ。
  2. インライセンシングモデル
  3. 既存のサプライヤー・ネットワークを最適化するための組織的な取り組みがない。

これは、CPCがトップラインの成長やインライセンスに注力するのをやめるべきだということでしょうか? 絶対にそんなことはありません。これは、企業の戦略に沿って継続すべきものです。しかし、同時にネットワークを最適化し、持続可能な成長を支えるためにアウトソーシング戦略を確立する必要があります。

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執筆者について

Fuliginous Management Consulting

経歴

Fuliginous Management Consultingは、2019年の創業ながら欧州や米国の医薬品CDMO業界に対してサービスを提供し、サポートしています。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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