医薬品の外観目視検査における要求品質の明確化のために【第21回】

2022/09/16 品質システム

異物調査に基づく改善について。

異物調査に基づく改善

1.異物調査に基づく改善
前回までの繰り返しになるが、検査員、検査機が選別機であってはならない。検査工程で検出される不良、異常は、製造工程の異常に対する警報である。「いつもに比べ、不良が多いな」とか、「何となくいつもと違う不良が出ている」といった検査員のコメントが重要なヒントになることがある。もちろん、製造記録から記録ベースで評価、判断することも重要だが、生のホットな情報を工程責任者がどの様に聞き、どう動くかが大きな分かれ目になってくる。この辺は、検査員の教育訓練の成果ともいえる事例である。
上記のような、即時的な対応の他、トレンド分析により特定のロットまたはある時期からの連続するロットに不良、異常が多く出た場合、何らか原因を疑いアクションを起こす必要がある(図表1)。それらの情報を全般的、客観的に観察し、統計的に解析するなどして製造条件を見直さなければならない。現在のGMPでは、変更管理が重要視されており、製造方法・条件を見直し、改善という変更を行なう場合であっても、社内手続きに従って承認を得なければならないことは当然のことである。改善内容によっては、承認事項の一部変更申請や軽微変更届が必要になる場合があるので注意が必要である。
 


 各検査工程で検出された異常は、関連のある前工程の記録を精査し、問題点を抽出し個別に対応しなければならない。また、環境、手順、設備を含めた周辺情報の調査も同時に行なうことが重要である。次項との関連も含め、これらの関係を模式化したものが図表2である。多岐にわたる調査が必要であることが分かる。
 

 

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執筆者について

新井 一彦

経歴 C&J 代表
化学系企業にてバイオテクノロジーを利用した医薬品の探索、開発研究に従事。その後、開発医薬品(無菌製剤)の製造工場立上げに製造管理者として関わりGMP組織体制、基本構想を構築した。
平成17年の改正薬事法完全施行に合わせ、新たに製造販売業を取得するため某ジェネリックメーカーの設立に関与。取締役信頼性保証本部長として総括製造販売責任者の責務を担った。
現在、C&J 代表として、講演、執筆、国内外のGMPコンサル業務活動を推進。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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