現場に役立つISO9000s【第4回】

はじめに
 JIS Q 9001:2008の条項5 経営者の責任には、条項5.1 経営者のコミットメント、条項5.2 顧客重視、条項5.3 品質方針、条項5.4 計画、条項5.5 責任、権限及びコミュニケーション、条項5.6 マネジメントレビューが含まれます。
 条項7 製品実現には、条項7.1 製品実現の計画、条項7.2 顧客関連のプロセス、条項7.3 設計・開発、条項7.4 購買、条項7.5 製品及びサービス提供、条項7.6 監視機器及び測定機器の管理が含まれます。それぞれ、ポイントを解説します。
 
1.経営者の責任
条項5.1
 経営者のコミットメントには、「トップマネジメントは、品質マネジメントシステムの構築及び実施、並びにその有効性を継続的に改善することに対するコミットメントの証拠を示さなければならない。」としています。このように、品質マネジメントシステムにおける、トップマネジメントの役割が、一層明確になりました。ここで言うトップマネジメントとは、品質マネジメントシステムの外部審査登録を受ける単位の組織の最高レベルの人と考えることができます。会社全体であれば、経営トップの社長であり、営業部門が審査登録の対象であれば、営業本部長または販売部長であったり、製造部門が審査対象であれば、製造部長または生産本部長です。
 経営者のコミットメントとは、組織の内外部に対して組織のトップマネジメントが具体的に決意を表明し、約束することです。そして「コミットメントの証拠を示す」とは、具体的かつ確実に次のことを実行することです。
 
 1)顧客及び法令・規制の要求事項への適合が重要であることの組織全体への周知徹底
 2)品質方針の設定
 3)品質目標の設定の確実化
 4)マネジメントレビューの実施
 5)必要な資源の明確化とともに使用できるように配分すること
 
 経営者の責任は、品質マネジメントシステムのみならず、環境マネジメントシステムや危機管理システム及び企業の社会的責任(CSR)など他のシステムにおいても、経営者の強い意思表示が求められています。
 
条項5.2 
 顧客重視では、「顧客満足の向上を目指して、トップマネジメントは、顧客の要求事項が決定され、満たされていることを確実にしなければならない」としています。顧客満足の定義として、JIS Q 9000の解説では「顧客の要求事項が満たされている程度に関する顧客の受けとめ方」としています。すなわち提供する製品・サービスがどの程度、顧客が要求する事項を満たしているか、顧客の視点での評価ということができます。何が何でも顧客のいいなりに対応することではありません。
 経営トップは、顧客のニーズや期待を明らかにするよう、組織が実施することを明確にしなければなりません。そのために、組織は3つの視点(Customer、Consumer、Company)で理解しておく必要があります。Customerは、顧客で、将来顧客になるであろう潜在的顧客を含めて、顧客のニーズと期待を理解します。Consumerは、消費者すなわちエンドユーザーで、消費者が求める製品・サービスの特性を理解します。Companyは、会社を取り巻く内外環境の理解。すなわち、外部環境であれば、会社の属している市場及び業界の状況ならびに将来展望など、内部環境では、その会社の強み、弱みあるいは成長機会や脅威(SWOT分析)の理解が必要です。
 経営トップは、品質マネジメントシステムが適切、妥当かつ有効であることを確実にするために、あらかじめ定められた間隔で、品質マネジメントシステムをレビューしなければなりません。内部監査の結果、顧客からのフィードバック、プロセスや製品の適合性、是正措置、予防措置の状況、改善提案などの情報を基に、マネジメントレビューを通して、品質マネジメントシステムの有効性の改善を図ることが求められています。

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