医薬品の外観目視検査における要求品質の明確化のために【第16回】

2022/04/15 品質システム

固形製剤の外観検査について。

固形製剤の外観検査

1.固形製剤の外観検査
  固形製剤は、注射剤と異なり(自己注射剤は除く)、調剤薬局や患者さんが直接製剤の外観を
  確認することができる剤形である。
  注射剤同様、多様性があるが、代表的な固形製剤としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤
  トローチ剤等がある。

 1.1 錠剤
   錠剤の特徴は、取り扱いが簡単であること。
   錠剤は、更に、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠に分類される。
   それぞれの特徴を以下に示す。

   ・口腔内崩壊錠:口の中で速やかに溶ける錠剤
   ・チュアブル錠:噛み砕いて飲む錠剤
   ・発泡錠:水中で急速に発泡する錠剤
   ・分散錠:水に入れて、分散させて飲む錠剤
   ・溶解錠:水に溶かして飲む錠剤

 1.2 カプセル剤
   カプセル剤は、薬をカプセルで包んである薬のことである。
   カプセル剤の特徴は、不快な味や臭いを防ぐことができる点である。

   ・硬カプセル剤
   ・軟カプセル剤

 1.3 顆粒剤
   顆粒剤は、粒状に造粒した製剤である。
   顆粒剤の特徴は、散剤と比べ、容器などへの付着性が低いこと。
   適切なコーティングを行なうことで、様々な性質を付与することが可能。

 1.4 散剤
   散剤とは、粉末状の製剤である。
   散剤の特徴は、細かい投与量の調節が可能であること。
   飲み込む力の低い、小さな子どもや老人にも使用可能。

 1.5 トローチ剤
   トローチ剤は、口腔内に適用する製剤である。

2.固形製剤の製造方法の理解
  固形製剤も剤形に多様性があり、多様な剤形に対応する検査方法を構築するだけでなく
  固形製剤の製造方法 (工程) の理解も
  必須である。製造工程を知ることが、不良の発生源の特定につながると考えられる。
  ここでは、錠剤の製造工程の例を示す(図表1)。
 

 

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執筆者について

新井 一彦

経歴 C&J 代表
化学系企業にてバイオテクノロジーを利用した医薬品の探索、開発研究に従事。その後、開発医薬品(無菌製剤)の製造工場立上げに製造管理者として関わりGMP組織体制、基本構想を構築した。
平成17年の改正薬事法完全施行に合わせ、新たに製造販売業を取得するため某ジェネリックメーカーの設立に関与。取締役信頼性保証本部長として総括製造販売責任者の責務を担った。
現在、C&J 代表として、講演、執筆、国内外のGMPコンサル業務活動を推進。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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