医薬品の外観目視検査における要求品質の明確化のために【第13回】

2022/01/14 品質システム

注射剤ではガラス片の混入事例が多く見つかる。では、破瓶は、どこで発生しているのか。

注射剤の製造工程および資材から想定される異物

1. 注射剤の製造工程から想定される異物
 PMDAのホームページに掲載されている自主回収の内容を確認すると、注射剤ではガラス片の混入事例が多く見つかる。では、破瓶は、どこで発生しているのか。以下のような工程が想定される。すなわち、「ガラスは割れる」ということを前提に処理手順を定めておくことが必要である。

・自社での洗浄・滅菌工程
・自社での充てん・密封工程
・自社での搬送工程・包装工程

 破瓶処理は、あらかじめ制定する「破瓶時の処理手順」に従うこと。
 また、すべての作業内容は、記録を残すこと。
 破瓶時の処理手順書には、以下の事項を定めておかなければならない。
特に、飛散範囲の特定や排除範囲の決定は重要であり、これを誤るとガラス片の混入リスクが高まることは容易に推測できる。

・破瓶を確認したら、直ちに危機を停止(責任者、次工程以降に破瓶発生を連絡)。
・破瓶、飛散範囲の確認(洗浄漕内を含む)。
・破瓶・破片の除去(Grd.A内への介入時は、臨時の環境モニタリング実施)。
・他の資材の除去範囲は、最大飛散範囲とする。
・清浄度区分に応じた清浄化作業を実施。
・清浄度区分に応じた清浄化時間を確保し、責任者の確認・承認後に製造再開する。
・逸脱処理を行い、措置の妥当性、環境モニタリング、外観検査の結果等の評価を踏まえ、出荷判定する。

2ページ中 1ページ目

執筆者について

新井 一彦

経歴 C&J 代表
化学系企業にてバイオテクノロジーを利用した医薬品の探索、開発研究に従事。その後、開発医薬品(無菌製剤)の製造工場立上げに製造管理者として関わりGMP組織体制、基本構想を構築した。
平成17年の改正薬事法完全施行に合わせ、新たに製造販売業を取得するため某ジェネリックメーカーの設立に関与。取締役信頼性保証本部長として総括製造販売責任者の責務を担った。
現在、C&J 代表として、講演、執筆、国内外のGMPコンサル業務活動を推進。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

34件中 1-3件目

コメント

この記事へのコメントはありません。

セミナー

2025年5月30日(金)10:00-16:30

バイオ医薬品の開発とCMC戦略

2025年6月16日(月)10:30-16:30~2025年6月17日(火)10:30-16:30

門外漢のためのGMP超入門

2025年9月10日 (水) ~ 9月12日 (金)

GMP Auditor育成プログラム第20期

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

株式会社シーエムプラス

本サイトの運営会社。ライフサイエンス産業を始めとする幅広い産業分野で、エンジニアリング、コンサルティング、教育支援、マッチングサービスを提供しています。

ライフサイエンス企業情報プラットフォーム

ライフサイエンス業界におけるサプライチェーン各社が提供する製品・サービス情報を閲覧、発信できる専門ポータルサイトです。最新情報を様々な方法で入手頂けます。

海外工場建設情報プラットフォーム

海外の工場建設をお考えですか?ベトナム、タイ、インドネシアなどアジアを中心とした各国の建設物価、賃金情報、工業団地、建設許可手続きなど、役立つ情報がここにあります。

※関連サイトにリンクされます