FDAドラフトガイダンス;咀嚼剤(Chewable)の品質特性の検討

2016/07/29 製剤

FDAは6月16日に咀嚼剤(Chewable)の設計に関するガイダンス(draft)を発出した。
http://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/UCM507098.pdf
8月15日までpublic commentを募集している。要点を下記の様に3点に纏めた。
 
1. ガイダンスの目的と背景
本ガイダンスの目的は、USPに2種の咀嚼錠(※)が規定されているが、其の2種を包括しての、FDAが意図する性質を満たすための製剤設計・開発のガイドと、NDA申請時に必要な試験・検証項目を示すことである。
背景には、承認された医薬品;咀嚼錠の申請書では、咀嚼剤の特性項目としての;硬度、崩壊性、および溶解性などの重要な品質特性が検討されていないことが起因していると推察される。また、咀嚼剤によると思われる;胃腸障害“gastrointestinal (GI) obstruction”、食道への刺激、さらには 咀嚼時の歯、義歯への損傷の可否に関しても十分な検討がされず、申請書への記述が不十分であるとも、FDAは言っている。
 
※USPの記述では、咀嚼錠には2つのタイプがある:
(1)医薬品の投与の容易にするために咀嚼されてもよい錠剤タイプ
(2)患者の窒息回避するため、確実に有効成分が放出されるために
  嚥下前に崩壊する錠剤タイプ
 

2. 咀嚼錠を開発・設計する際に考慮すべき重要な品質特性・許容基準
まず咀嚼剤の持つ特性としては;
 ・簡単に噛める
 ・口に合う(味がマスクされているまたは​​許容可能な味である)
 ・適切なサイズおよび形状
 ・誤嚥を最小化し、溶解を容易にするために、容易に崩壊すること。
これらを実現するために下記の5項目に関して検討を行う;
① 硬度
咀嚼錠の硬度は、製造、包装、輸送、流通の厳しさに耐えるだけでなく、簡単に対象の患者集団によって噛むことが出来る硬度を持つこと。高度の測定単位は、共通単位;kpを用いる (換算は、1 kp =1 kgf = 9.8 N = 1.4 scu.)
FDAの推奨
・申請書と文献のレビューに基づいて、FDAは咀嚼錠のための硬度は例えば、<12 KPを推奨
・高い硬度値(例えば、> 12 KP)では、噛む前に唾液への曝露の短い(約30秒)ことから、崩壊および/またはこれらの錠剤の硬度が低下するかどうかを考慮すること
・歯、義歯に対して咀嚼剤が安全かどうか、または錠剤を咀嚼に関連する他の副作用を起こすことなく、口で噛むことができることの実証研究を含んで、提案された硬度の妥当性を証明する必要があり

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執筆者について

古澤 久仁彦

経歴 1978年住友化学工業に入社、創薬、安全性等に従事。2004年三井農林(株)に入社APIの製造部門にて、信頼性保証部長を歴任、2010年テバ製薬(旧大洋薬品)に入社、信頼性保証部門、部長としてvendorのGXP全般の監査を担当。2014年退社。
製造所のGM(X)P監査・risk評価並びGMP管理(製造管理、品質保証・管理、文書管理)の実践的対応、risk分析、PMDA/FDA査察の実践的対応を得意とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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