医療機器の生物学的安全性 よもやま話【第20回】

2021/08/20 医療機器

刺激性試験の実施方法と評価について解説する。

刺激性試験の実施と評価

 医療機器が接触する部位に応じた刺激性試験法を選んだ後、実際に試験を計画します。

 その前に、医療機器そのものを暴露させるか、抽出液を暴露させるかを決めます。
 皮内反応試験のように注射で投与するような試験については、現物を注射できることはほとんどないので、抽出液の投与となります。また、眼刺激性試験も点眼による暴露となりますので、こちらも抽出液の暴露です。
皮膚刺激性については、皮膚に貼り付けることによる暴露になりますので、貼り付けることができる形態であれば直接貼付という方法がとれます。ガイダンスには、抽出液による方法が記載されていますので、プライオリティを抽出液による方法と考えておいた方がよいかと思いますが、例えば皮膚の上で材料どうしが反応するようなタイプの医療機器の場合は、直接貼付した方が実使用を模擬した試験設計と言えるでしょう。
 口腔粘膜刺激性試験の場合は、ハムスターの頬袋を用いる場合が多いのですが、頬袋にペレット状の試料を一定時間入れて反応を見ますので、医療機器そのもので試験することが多いかと思います。
 また、今回ガイダンスに掲載された、in vitro皮膚刺激性試験は、抽出液による方法が用いられます。
 このように試験方法によっては、医療機器をそのまま暴露するという適用方法がありますが、基本としては抽出による方法です。抽出方法は、他の試験でも他用される、生理食塩液及び植物油を溶媒として、下表にお示しした割合と、温度/時間条件で加温抽出します。

3ページ中 1ページ目

執筆者について

勝田 真一

経歴 一般財団法人日本食品分析センター 理事
1986年財団に入所し、医療機器、医薬品、食品、化粧品及び生活関連物資等の生物学的安全性評価に従事。1997年佐々木研究所研究生として毒性病理学及び発癌病理学研究に携わる。1999年東京農工大学農学部獣医学科産学共同研究員として生殖内分泌学研究。日本毒性病理学会評議員、ISO/TC194国内委員会、ISO/TC194 WG10 Technical ExpertやJIS関連の委員などを歴任。財団では薬事安全性部門を主管し、GMPやGLP対応を主導。情報システム部門担当を歴任。大阪彩都研究所長を経て現在北海道千歳研究所長。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

68件中 1-3件目

コメント

この記事へのコメントはありません。

セミナー

2025年5月30日(金)10:00-16:30

バイオ医薬品の開発とCMC戦略

2025年6月16日(月)10:30-16:30~2025年6月17日(火)10:30-16:30

門外漢のためのGMP超入門

2025年9月10日 (水) ~ 9月12日 (金)

GMP Auditor育成プログラム第20期

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

株式会社シーエムプラス

本サイトの運営会社。ライフサイエンス産業を始めとする幅広い産業分野で、エンジニアリング、コンサルティング、教育支援、マッチングサービスを提供しています。

ライフサイエンス企業情報プラットフォーム

ライフサイエンス業界におけるサプライチェーン各社が提供する製品・サービス情報を閲覧、発信できる専門ポータルサイトです。最新情報を様々な方法で入手頂けます。

海外工場建設情報プラットフォーム

海外の工場建設をお考えですか?ベトナム、タイ、インドネシアなどアジアを中心とした各国の建設物価、賃金情報、工業団地、建設許可手続きなど、役立つ情報がここにあります。

※関連サイトにリンクされます