医療機器の生物学的安全性 よもやま話【第12回】

2020/12/18 医療機器

 前回で細胞毒性試験の結果が明らかとなりました。
 そこで、今回はその評価方法について、ご説明したいと思います。

 試験液濃度とコロニー形成率を図にプロットすると、前回もお示しした下図のような関係が得られたとします。
 この中で細胞毒性が一番弱いのはDevice 1~3のうちどれでしょうか。
 言わずと知れたDevice 1ですね。どんな濃度でもコロニー形成率は、100%であるため、細胞毒性は無視できるレベルです。
 それでは、Device 2と3ではどちらの方が細胞毒性が弱いでしょうか。まず試験液濃度が低濃度の反応を見ますと、コロニー形成率が低下し始めるのが早いのがDevice 2です。Device 3はもう少し濃度が高くなると毒性が出始めます。ただ、その後はDevice 3の傾きが大きく、急激にコロニー形成率が低下する一方で、Device 2は比較的緩やかに低下します。
 下矢印で示した試験液濃度がIC50値ですが、IC50値で比較すると、Device 2 > Device 3という結果になります。毒性の出現開始濃度で比較するとDevice 3 > Device 2と逆転しますが、前回ご説明したとおり、試験液濃度が高いところや低いところの誤差が大きいので、50%程度のところを指標としてIC50値を求めるようになっていることから、50%付近の誤差が少ないところで比較した方がよさそうです。
 したがって、Device 2の方が細胞毒性が弱いということとなり、3者を比較すると、細胞毒性の弱い順に、Device 3、Device 2そしてDevice 1となります。
 

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執筆者について

勝田 真一

経歴 一般財団法人日本食品分析センター 理事
1986年財団に入所し、医療機器、医薬品、食品、化粧品及び生活関連物資等の生物学的安全性評価に従事。1997年佐々木研究所研究生として毒性病理学及び発癌病理学研究に携わる。1999年東京農工大学農学部獣医学科産学共同研究員として生殖内分泌学研究。日本毒性病理学会評議員、ISO/TC194国内委員会、ISO/TC194 WG10 Technical ExpertやJIS関連の委員などを歴任。財団では薬事安全性部門を主管し、GMPやGLP対応を主導。情報システム部門担当を歴任。大阪彩都研究所長を経て現在北海道千歳研究所長。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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