医薬品・食品工場における「ピレスロイド配合 機能性防虫ネット」を活用した防虫対策の施工事例

2012/10/15 施設・設備・エンジニアリング


記事投稿:
株式会社グロービック

はじめに
 
 医薬品・食品工場において、虫による異物混入事故防止対策は品質管理者・製造担当者にとって頭の痛い問題である。その対策として、人・原料・資材経由による虫の持ち込み防止、製造・包装室内への虫の侵入防止、内部発生虫のコントロールなどがあげられるが、中でも特に重要なのは建物内に侵入してくる虫の制御対策である。
 建物内への虫の侵入制御には、(1)誘引しない、(2)とどめない、(3)侵入させないの3原則がある。この対策として、誘引源となる照明の制御、とどめないための忌避剤の塗布、侵入させないためのシートシャッターの設置や、スリットカーテン(防虫カーテン)の使用など、さまざまな制御法を組み合わせ工夫してきたが決定的なものとはなっていない。
 本稿では、古来よりその効果(侵入させない)が認められている「蚊帳」すなわち「網」に、接触忌避性(とどめない)と殺虫力という機能を組み合わせた「ピレスロイド配合 機能性防虫ネット(以下 本ネット)」1)を使用することにより侵入虫制御のレベルアップが図れるものと考え、その施工事例を紹介する。
 
 その前に、ここで簡単に本ネットについてご紹介したい。
 
 本ネットは、ポリエチレンのモノフィラメント繊維に、ピレスロイド系の殺虫成分を含浸させたものであり、以下の特徴を持つ。
 ※ピレスロイド系薬剤:哺乳類に対する高い安全性と、虫に対する殺虫およ び忌避効果を併せ持つ
  ・薬剤成分はネット繊維の内部から徐々にブリード(滲み出る)し、揮散することなく、ネット繊維の表面にとどまる。
   また、メッシュサイズは防虫効果のある20メッシュである。
  ・ネットに虫が接触すると薬剤成分が体に付着し、殺虫効果が発現する。
  ・接触により消失した薬剤成分は、ブリード機能により再び繊維表面に補填される。
  ・汚れた場合、水洗いにより効果が復元する。
 
 これらの特徴は、薬剤汚染や環境への影響を最小限とどめるばかりでなく、薬剤効果の長期持続を可能にしている。

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