QCの役割を徹底理解【番外編】

 いろいろなところで仕事をしていて感じることが、QCが力を落としていることです。2005年に製造と販売に分けられ、製造所を持たなくても医薬品の製造販売承認書のホルダーになれるようになりました。
 それを受けて、多くの会社が製造を別会社にしました。その主な目的は賃金を下げることができるようにし、コストダウンを図るためでした。また、それをしない会社も多くの製品の製造を他社に製造委託をするようになりました。それは製造コスト削減のためです。
 それから14年が経過しました。何が起きているのでしょうか? 
 製造を知らない製造販売会社が増え、製造と販売を分けた当初は製造販売会社にも製造を知っている人が多くいました。ところが知っている人がどんどん減ってしまいました。製造販売会社は製剤設計までは知っているが、実際の製造は受託会社に移ってしまっています。
 品質保証でも同じことが起きています。実際の製造を知らない人が品質保証を行うようになっています。ある大手の会社は市場出荷を本社で行っています。製造所から逸脱報告があると、その報告書に書かれている“言葉”の意味がわかりません。またそこに書いてある“製造機械”がわかりません。それで品質保証ができるのでしょうか? 品質は現場で造り込まれています。現場を知らずに品質保証はできません。コスト削減で得たものとは製造がわからないで品質保証を行っている状況です。
 同様のことが品質管理(QC)でも起きています。製造販売会社は製造と同様QCを知らない、試験についてわからない人が増えています。かつ、試験は外部試験機関に委託できるため、製造所においてさえも、試験を知らなくなってきています。
 製造所にQCを持っているところでも、派遣やアルバイトを試験者として採用し、その新人に教育訓練を行っています。、しかし短期間で退職してしまい、また新人を教育訓練をしますが、また退職していくというアリジゴクに陥っている製造所も増えているのではないでしょうか? 
 「世界史の極意」佐藤優著を読んでいたら、下記の文書がありました。
労働力の賃金
1)労働者が次の一か月働けるだけの体力を維持するに足るお金
2)労働者階級を再生産するお金。つまり家族を持ち、子どもを育てて労働者として働けるようにするためのお金が賃金に入っていないといけません。
3)資本主義社会の科学技術はどんどん進歩していきますから、それにあわせて自分を教育していかなければいけない。そのためのお金。
 この考え方はマルクスの最大の貢献でした。

これをQCに当てはめると下記になります。
1)    試験者がGMPで必要な試験を行えるだけのリソース
2)    試験者が新人に教えて試験ができるようにするための教育訓練のリソース
3)    試験者が新しい技術やQCに関する知識を高めていき、今の仕事を改善していくためのリソース

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