治験用医薬品原薬の製造【第1回】-新薬の開発過程-

2012/03/23 品質システム

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 医薬品の開発は、その「品質」と「安全性」と「有効性」を確立する過程であると定義することが出来る。「品質」はGMP、「安全性」はGLP、「有効性」はGCPによって、守るべき要件が規定されている。医薬品の開発にとって、これらの三要素のうち、「品質」は、「安全性」及び「有効性」を保証するための基盤となるという意味で、もっとも基本的な要素である。すなわち「品質」に一貫性がないと「安全性」や「有効性」のデータも一貫性がなくなり、臨床試験そのものの信頼性が損なわれるからである。治験薬の製造を担当する部門は、このことを念頭に、安全性試験を担当する部門や、有効性試験を担当する部門に迷惑をかけないように、すなわち、試験をやり直させる原因を作らないように、開発期間を通じて、品質の一貫性を保証しつつ、製造プロセスの改善や治験用医薬品の製造を続けなければならない。
 
 「製造上欠陥のある医薬品を人に投与させないこと」がGMPの究極の目的である。この状況は医薬品であろうと治験薬であろうと全く変わりがない。従って、治験薬の製造管理のレベルは、基本的に医薬品と同じでなければならず、単に製造ロットが少ないといった理由で、品質保証のレベルを下げることは許されない。


図1 医薬品の開発過程とGxP
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執筆者について

中尾 明夫

経歴

株式会社シーエムプラス フェロー。
GMP Platform責任者。
1976年田辺製薬(株)入社。有機合成化学研究、プロセス化学(工業化)研究に従事後、品質保証部長、取締役生産本部長、常務取締役経営企画部長を歴任、合併後、田辺三菱製薬(株)常務執行役員製薬本部長。
FDA査察対応やPDA活動を通じ、「GMPはサイエンス」と確信。GMP教育の洗練化を目指す(株)シーエムプラスの企業理念に共感し、2011年(株)シーエムプラスに入社、2012年5月取締役副社長就任。2018年4月より現職。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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