【解説】FDAデータインテグリティQ&Aガイダンス最終版

2018/12/20 製造(GMDP)

データインテグリティはここ何年かGMPの大きな懸案事項となっており、それについて各規制当局も様々な対策を考慮し、FDAは2016年に基本的な事項に関するQ&Aのドラフトガイダンスを発行している。
今回は寄せられたコメントやそれ以降の状況を踏まえて、その最終版を2018年12月12日に『Data Integrity and Compliance With Current Good Manufacturing Practice Questions and Answers』として発行した(原文:https://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/UCM495891.pdf)。

2016年版ドラフトとの基本的な差はなく、変更点は説明の違いといって良い。
データインテグリティという言葉を聞くのは比較的最近であるが、オリジナルデータの重要性そのものは昔から変わらず、データの信頼性を必要とするすべての分野、例えばIUPACの実験ノートや会計帳簿とも共通する問題である。

この以前からの一般的な問題が時として医薬品業界で混乱を招いているのは、電子データの取り扱いに関する事項が特殊なものとして捉えられた結果であろう。
電子データは従来からの紙データと原則的に同一であるが、電子データの取り扱いに関してはコンピュータバリデーションばかりが強調され、最も肝心な品質保証からの立場が軽視されてきたきらいがある。

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執筆者について

山本 久夫

経歴 株式会社シーエムプラス GMP Platformシニアコンサルタント
1974年サッポロビール株式会社入社。ビール製造品質管理に従事後事業多角化のため体外診断薬、制癌剤の開発を行う。サッポロビール株式会社の医薬開発事業撤退に伴い生化学工業株式会社に入社。医薬品開発業務、研究管理、薬事申請業務、品質保証業務に従事後2010年3月退職。デンツプライ三金を経て2012年3月株式会社シーエムプラス入社。国内外規制情報の収集及び解析・翻訳、申請支援等を含めGMPコンサルティングに従事。
研究開発、信頼性保証、申請業務を含めた各国当局対応を通じGMPは科学的な見地からの品質の確立につきる問題であり、医薬品の進歩の足枷になってはいけないということを実感している。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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