EMAの新しい作業者暴露基準の考え方

2018/11/22 製造(GMDP)

2018年4月、EMAは”Questions and answers on implementation of risk-based prevention of cross-contamination in production and ‘Guideline on setting health-based exposure limits for use in risk identification in the manufacture of different medicinal products in shared facilities’ と題する「マルチ医薬品(原薬)製造設備での品目切り替え時のリスクの分析評価に用いる健康曝露制限(HBEL)の設定に関するガイドラインならびに交差汚染防止のリスクベースの解決策のQ&A」を発出しました。このガイドラインは2016年にdraftとしてEMAが発表したものの最終版である。
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Other/2017/01/WC500219500.pdf

“health-based exposure limits(HBEL)”は、仮に健康基準曝露限界とでも訳しておきます。

本ガイドラインの特徴は、暴露量の閾値として用いられてきた;Occupational Exposure Levels (OEL) 、Permitted Daily Exposure (PDE). ADE(Acceptable Daily Exposures)を包括する閾値の指標としてhealth-based exposure limits(HBEL)を定義していることである。
今回、このguidelineには、13のQ&Aが載せられているが、代表的なQ&Aを解説する。

1. EMAの暴露基準に健康曝露制限(HBEL)を導入したことに関してはQ1で
  Q1. すべての医薬品に健康基準曝露限界(HBEL)が必要ですか?
A. はい、すべての医薬品についてHBELを確立する必要があります。
  HBELの計算に依存する毒物学的または薬理学的データは、製品のライフ
  サイクル全体にわたって定期的な再評価を必要とします。

ここでは、高理薬物、高毒性医薬品を対象にした従来の暴露基準に代えて、すべての薬物に対する暴露基準を求めている。つまり、従来検討されていなかった、低毒性といわれる薬物に関しても健康基準曝露限界の設定を求めている。さらに、このHBELは常に見直しが求められることも記述されています。

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執筆者について

古澤 久仁彦

経歴 1978年住友化学工業に入社、創薬、安全性等に従事。2004年三井農林(株)に入社APIの製造部門にて、信頼性保証部長を歴任、2010年テバ製薬(旧大洋薬品)に入社、信頼性保証部門、部長としてvendorのGXP全般の監査を担当。2014年退社。
製造所のGM(X)P監査・risk評価並びGMP管理(製造管理、品質保証・管理、文書管理)の実践的対応、risk分析、PMDA/FDA査察の実践的対応を得意とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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