製薬企業における設備保全の今後のあり方についてGMP視点から考える(9)

2014/07/28 施設・設備・エンジニアリング

ISPEのメンテナンスガイドライン(第8回参照)では、Basic Practice レベルを基本として、GMPへの適応を考慮したGood Practice、さらにリスク評価を考慮に入れたBest Practice へと実践レベルを進展させていくことが望ましいとしていることを確認した。今回は、GMPへの適応を考慮する以前に実践していなければならない基本的な設備保全業務(Basic Practice)の原則課題について確認する。
 
1."品質"を第一に考える"Basic Practice"レベルの設備保全業務
 
 第8回では、医薬品業界での設備保全の進化方向、目指すべき方向を見てきた。今回はその方向を前提に、製品品質を確実に維持・向上させるための設備保全の考え方について、その基本から確認する。
 工場の稼働を円滑にするための保全業務は、製品の品質維持と、製造プロセスの信頼性維持の両面に大きな影響を与えている。設備保全業務が、GMPの遵守に大きな役割を果たすことは明らかであるが、経営の観点からは、常に"Maintenance Performance"の最大化と、"Maintenance Cost"の最小化が課題となり、常時これらとのトレードオフで設備保全への施策を打ち出すことが求められている。
 
 まず、社団法人日本メンテナンス協会がまとめている一般産業としての設備保全の目指す基本的考え方(図1)を見てみよう。「①品質、②生産量、③コスト、④納期を確保し、働く従業員の職場環境を整備して、⑤安全で、かつ従業員の⑥意欲 を向上させて、企業の生産性に寄与する」ことが基本的な考え方である。製薬業であっても、この基本的な考えは一緒のはずである。「生産保全」(PM)と「総合生産保全」(TPM)を取り入れて実現することが、"Basic Practice"レベルの基本コンセプトでもある。設備保全の目的は、究極的に、これら①~⑥のアウトプットをいかに最大にして、インプットとなる「①人、②設備、③原材料、④金」をいかに最小にするかということになる。

 
図1製造業共通の設備保全業務とその管理の基礎概念

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