再生医療等製品の品質確保のための要求事項【第10回】

2018/06/15 再生医療

水谷 学

 ここでは、再生医療等製品の製造管理と品質管理(GCTP省令)に適合するために考慮/達成すべきことについて、AMEDにて実施された、「再生医療等製品の無菌製造法に関する指針(案)」の作成経緯をふまえ、概説を行います。
 
 
●指針案作成の経緯と適用範囲について
 臨床用の細胞製品は、これまでにも述べてきましたが、原料(細胞)の選択や、適用部位、投与方法により多様であり、その製造方法も多様です。細胞製品は、生きた細胞に対し加工と呼ばれる培養操作や遺伝子導入などを経て、目的の量と特性を有する細胞群を生成させ、適切な形態で包装・保管された後に出荷されます。そのため細胞製造では、生産スケールや工数は細胞の状態維持(細胞製造性)を最優先に手順を決定し、ケースバイケースで工程設計および製品の品質確認を行う必要が生じます。すなわち、製造方法とそれに伴う固有の製造管理と品質管理の考え方は、多様かつ未成熟であり、承認審査時でも、現状では個別対応となっています。したがって、現状において、再生医療等製品のGCTP(製造管理および品質管理)の考え方においては、医薬品製造のように、製造方法の設計(予測的なバリデーション)を含めた手順の標準化(ガイドラインあるいは指針等の作成)を行うことは、困難だと考えます。
 これに対し、最も重要な品質の1つである、製品に係る無菌性確保の課題に限定した場合、その内容および手順は、全ての細胞製品に共通していると考えられています。生きた細胞を原料とした細胞製品は、製造方法において滅菌を含む無菌化工程を持つことが困難な場合がほとんどで、製造では、原料から最終製品までの全工程を通して無菌的な操作を実施し、最終製品の無菌性を保証することが求められます。そすなわち、細胞製品の無菌性保証(無菌操作法)の考え方は、多様な製造方法が考慮されたとしても、共通の概念で議論(標準化)することが可能であると考えます。そして、そのような無菌性保証の考え方は、従来の無菌医薬品製造の考え方とも近似していると考えます。むしろ、無菌化工程を持てないので、従来の医薬品製造よりも厳しいとも考えられています。
 そこで、我々は、日本医療研究開発機構(AMED)再生医療実用化研究事業の特定細胞加工物/再生医療等製品の品質確保に関する研究(平成26-28年度,研究代表者 新見伸吾)では、無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針(無菌医薬品製造指針)をベースに、薬機法下での再生医療等製品製造における、無菌操作を前提とした製造管理および品質管理の考え方を示す考え方(指針)の文章案として、「再生医療等製品の無菌製造法に関する指針(案)」(以下、文章案という。)の作成を行いました。
(注: 文章案は、平成29年7月にAMED成果として公開され、現在も、阪大紀ノ岡研究室のホームページより入手が可能です。)

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執筆者について

水谷 学

経歴

大阪大学 大学院工学研究科 講師。
1997年群馬大学大学院工学研究科博士後期課程を中退。国立循環器病センター研究所生体工学部にて生体適合性材料の研究を行った後、株式会社東海メディカルプロダクツにて循環器用カテーテルの開発および製造に関わる。2004年より株式会社セルシードにて再生医療に係る開発および品質保証を担当し、臨床用細胞加工物の工程設計や細胞培養加工施設の設計と運用を実施。東京女子医科大学での細胞シート製造装置開発を経て、2014年より現職。細胞製造システムの開発に従事。工学研究科の細胞製造コトづくり拠点において、細胞製造コトづくり講座(社会人教育)および標準化・規制対応に関わる共同研究を担当。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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