GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第87回】

2025/02/07 品質システム

GMP省令遵守について。

GMP省令遵守

1.手順書の改訂履歴
 手順書の改訂を記録とし残さなければならない。その記載方法が改正通知逐条解説で示されている。

10.第7条(医薬品製品標準書)関係
(3)医薬品製品標準書の記載事項は、その製造所における製造・品質関連業務の適切な実施に支障がない内容及び範囲で足りるものであり、当該製品に係る医薬品の他の製造所における製造工程(保管を含む。)、承認事項等の全てについて記載を要するものでないこと。
③第7条第4号関係
「その他所要の事項」として、次に掲げる事項を含むものであること。
ア.医薬品製品標準書の作成、改訂及び承認の日付、医薬品製品標準書の管理番号
イ.医薬品製品標準書の作成、改訂及び承認の責任者(承認を行った品質部門の責任者)の氏名並びに配付先
28.第 20 条(文書及び記録の管理)関係
(1)医薬品の製造業者等があらかじめ指定した者に行わせるGMP省令第2章に規定する文書及び記録の管理に係る業務について規定するものであること。あらかじめ指定した者については、管理の対象となる文書又は記録の内容、取扱い、管理の方法、保管の期間等に関して熟知している職員を当該文書又は記録の管理の責任者としてあらかじめ指定し、その職責及び権限を含め、GMP省令第6条第4項の規定による文書に適切に定めておくことが求められる。
②第 20 条第1項第2号関係
医薬品製品標準書及びGMP省令第8条第1項の手順書を作成し、又は改訂するときは、その作成又は改訂の日付を記載するとともに、それ以前の改訂に係る履歴(作成及び改訂の趣旨及び経緯、承認を行った者の氏名等を記録したもの)の保管を要するものであること。当該履歴については、その文書中に作成及び改訂の日付と併せて記載しておくことで差し支えないものであること。


 第7条製品標準書に作成、改訂及び承認者の氏名を記載することが求められており、第20条に製品標準書及び手順書の改訂履歴に第7条で求められた内容を保管することが定められている。
 私が神奈川県庁に勤務していた時から求められており、製造業の査察時に指摘していた。ところが、県庁退職後に他県での文書管理について確認したところ、作成、改訂及び承認者の氏名が記載されてなく、部署名のみの記載や部署名も記載がないことが多かった。尋ねると、そのような点を査察や監査で求められていないとの回答であった。なぜ、作成、改訂及び承認者の氏名が必要であるかは、クレーム等ですでに出荷した製品にあった際、その製造記録や試験検査記録を確認した時、手順書に問題があり、その手順書を作成した時の作成者や承認者に確認する必要が生じることもある。過去の製造や試験検査に問題がないか、手順書に誤解を招くことがないものか、確認できる体制を保つことが必要である。

 

 

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執筆者について

中川原 愼也

経歴

GMPコンサルタント
1984年神奈川県庁に入庁し、1997年国立公衆衛生院(現在の国立保健医療科学院の前身)でGMP研修を受講後、薬務課及び小田原保健所等で医薬品等の製造販売業、製造業の許認可、審査、指導を主にGMP・GQPリーダー査察官として16年にわたり活躍した。その間、MRA(日・欧州共同体相互承認協定)の締結の際のEUの調査、2005年の製造販売承認制度の施行に携わり、PIC/S加盟にあたり、厚生労働省の委員等委嘱を受け、次の活動に参加した。
平成20、21年度 GMP/QMS調査・監視指導整合性検討会委員
平成21、22年度 厚生労働科学研究~GMP査察手法の国際整合性確保に関する研究
2012年に神奈川県庁を退職し、医薬品原薬輸入商社であるコーア商事株式会社で、品質保証部長として国内管理人としてのGQP取決め及び医薬品製造業としての GMP管理を統括した。2015年から株式会社ファーマプランニングにて、GxPコンサルタント業務に携わる。2017年高田製薬株式会社に入社、大宮工場の製造管理者、品質統括担当参事を経て、2021年より生産本部顧問に就任。同年より中間物商事株式会社品質保証部部長として勤務。
2021年11月より、共和薬品工業株式会社鳥取工場品質保証部長となる。
2022年4月からGMPコンサルタントとして独立したが、2023年2月硬膜動静脈瘻に疾病し、言語障害となった。退院後、自宅にてトレーニングし、完治。8月にネオクリティケア製薬株式会社品質保証部に入社、従来通り活動をしている。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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