バイオ医薬品とベンチャー【第7回】

2014/03/10 製剤

いまさらですがコミュニケーションは重要
 コミュニケーションが非常に大切なことは誰もがわかっているのですが、これほど難しいことはありません。
 
 コミュニケーションを取るために話をするということが、まず一歩です。言葉は発しないと絶対に伝わりません。「目や後姿を見て理解しろ」と言われることがありますが、職人の世界であるならばともかく、困難なケースが多いでしょう。かといって雄弁が必ずしも優れているわけではありません。ここが難しいところです。
 
 第6回で、LPCを取り上げましたが、もっとも苦手な人とはコミュニケーションとりたくないものです。コミュニケーションがとりづらいのでLPCなのか、コミュニケーションを取りたくないのでLPCなのか、そこを克服できるリーダーは素晴らしいリーダーに違いありません。
 
 いずれにせよ意思疎通は難解です。
 
「俺は社員と密にコンタクトしている!」・・・それってコミュニケーション?
 情報発信を頻繁に行い、社員とのコミュニケーションは"ばっちり"とおっしゃっている社長を見かけることがあります。その様な場合に、社員に感想を求めると「ほとんど聞いていない」とか、「良くわからなかった」、と答えるケースが多いことに気づきます。
 
 情報というのは、伝わらないと何も価値がないのということを理解していないケースが多いです。相手のレベルに合わせること、相手が聞く気になる体制か確認することが重要な要素だと思います。社員は社長からの話であると、当然聞いてくれます。理解しなくとも返事をします。ごもっともといいます。しかし、これを伝わったと誤解している社長が実に多いです。
 
 次の段階は、「社員にうまく伝わらない、理解していない」と感じる社長のとる態度でよくある"多弁"があります。社員を捕まえて、一人ひとり一生懸命説明し、理解させようと必死になるため多弁になります。これもあまり成功するパターンは見ていません。社長の思いより、社員は面倒だという態度になり、すでに聞く体制にないところに多弁になるので、ますます聞かなくなるという悪循環です。このような社長は、「部下は理解ができない」「能力が低い」などの思いを抱き、「部下に任せない」[リーダーを作らず、直接指示を出す」傾向があります。社員も、社長との接点を疎ましく思い、身近に報告のできるリーダーがいないため、社長に話さずに自己判断をしてコミュニケーションはますます悪くなっていきます。場合によっては、自己判断も放棄し、自主的に行動を取らず、全社員が"指示待ち"に陥ります。

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執筆者について

渡部 博次

経歴 10年強、製薬会社にて細胞工学(バイオプロダクツ製造研究)を行った後、商社などを経てバイオベンチャー経営に携わる。基礎研究から臨床、ライセンス、財務、法務、営業にわたり企画開発を行うことによって、経営を再構築させることを得意とする。現在、大学にて「実社会に役にたつ経営学手法」をテーマに教鞭を行う。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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