【第7回】治験に係るベンダーの要件調査

今回は治験薬の製造と運搬と保管に関わるベンダーの要件調査票(チェックリスト)を作成し、これらの施設の訪問調査を行う場合について紹介しよう。

治験薬受託製造施設の調査
 GCP省令第17条第1項に「治験依頼者は、治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された治験薬を、治験依頼者の責任のもと実施医療機関に交付しなければならない」と規定されている。この製造所というのが、治験薬GMPに適合する製造所であることはいうまでもない。
 治験薬GMPは「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)について」(平成20年7月9日付け薬食発第0709002号厚生労働省医薬食品局長通知)のことだ。治験薬GMPはGMP省令に基づく通知ではなく、GCP省令第17条第1項(医師主導治験の場合は第26条の3第1項)に基づく局長通知であることは、GMP Platformをご覧の諸兄姉には釈迦に説法であろう。
治験薬は治験薬GMP下での製造管理及び品質管理が求められており、さらに治験薬の品質確保については、治験薬GMP通知を踏まえPIC/SのGMPガイドラインを活用するものであることが通知されている1)
 治験薬の製造にあたっては、医薬品製造業の許可施設で製造してもよいこととされているが、その場合であっても治験薬GMP通知における治験薬製造施設にかかる規制を遵守することはもちろんである。なお、治験薬は、開発段階によって、その毒性、薬理作用、感作性等について十分な知見が得られていない場合があるため、他の医薬品等への交叉汚染防止等、治験薬特有の必要事項に係る措置を講じる必要がある2)

 治験薬受託製造施設(CMO、Contract Manufacturing Organization)の要件調査にあたっては、生産実績(錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、注射剤)を調査するのはもちろんであるが、製造以外に受託可能な業務(製剤化検討、製剤設計、処方設計、分析、試験法開発、包装設計、ラベル印刷等)も調査項目に加えよう(図1)。要件調査票を作成してCMOに送付し、回答を得た後に施設を訪問してツアーとインタビューを実施する。可能であれば自社の医薬品製造工場のGMP経験者や製剤研究所のCMC担当者を同行し、ペストコントロールや、災害対策、非常時電源対策等をツアーで確認する。

治験薬保管施設の調査
 治験薬保管施設に対する要件調査では、保管施設の温湿度管理、防犯防災セキュリティー状況、ペストコントロール、災害対策、非常用電源装置などを盛り込んだ要件調査票を作成して施設に送付し、回答を得た後に施設を訪問して文書閲覧とインタビューとツアーを実施する(図2)。
 施設を訪問して調査する際の着眼点をいくつか紹介しよう3)
① 温湿度管理記録
 – 空調機及び必要に応じて除湿機等の設置
 – 温湿度の設定状況(室温、冷蔵)
 – 温湿度記録の保存、保存期間
 – 温湿度異常の検知及び通知方法
② 空調設備のバックアップ
 – 空調設備の故障や停電の際の対策
③ 天井裏及び壁裏等のウォーターライン
 – 天井裏や壁裏、あるいは床下などの水道管やドレインパイプの漏水対策等
④ ペストコントロール
 – ねずみや昆虫などの生物の侵入防止対策と定期的なモニタリング

 

 

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