知的財産の基本から知財ミックスまで【第27回】

商標の登録要件―識別力

 こんにちは、弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
今回から、商標の登録要件について説明します。

 特許庁に商標の出願書類を提出するとどんなものでも登録されるわけではありません。書類の形式をクリアした案件は、特許庁の審査官によって登録を与えてよいかどうか審査されます。

 商標の登録要件は商標法で細かく規定されています。今回のテーマは登録要件の一つである「識別力」です(商標法第3条1項各号)。

 識別力とは、一言でいうと、自社の商品等と他人の商品等とを区別できる力のことを言います。例えば、指定商品「シャツ」に使用する商標として「特別仕立」を出願したとしても、「特別仕立」は商品の品質を普通に表したものに過ぎないため、識別力が欠けていると判断されます。

 商標出願前の調査では、自社の商標と似たような先行商標があるかどうかの調査に加えて、指定する商品や役務との関係で商標に識別力があるかどうかも検討する必要があります。

 ところで、最近、特許庁の識別力の有無の判断が厳しくなってきました。コロナ以前から特許庁に対し業界から、「識別性の判断が甘い」、「識別力の弱い登録商標の増加により企業活動が制限される」といった識別性判断の厳格性を求める声が数多く上がっていましたので、その影響だと思われます。

 

 

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