【第16回】デジタルヘルスで切り拓く未来
「ヘルスケアの未来はいかに。」
●要旨
メタバースの上にいろいろな情報が構築される時代になりました。テクノロジーがこれを支えているのですが、何を叶えようとしているのか、そのビジョンが必要です。ビジョンをもとに描かれた地図も、時代とともに見つめ直すことも大切です。用いられるテクノロジーのアクセプタンスについても目を配りましょう。人口減が進む中、XaaSの概念は様々なことを示唆するでしょう。
●はじめに メタバースへ向かう私たち
感染症拡大防止行動をきっかけに、メタバース空間でのイベントが増えました。行動制限は自主性に任される時期となっても、暮らし方の多様性から、メタバース空間の利用は続き、さらに進化しているように思います。単に同じものがメタバース空間に載せられているのではなく、新たな機能の利用が可能になり、新たな文化が生まれています。そして近年のデータを積み上げたものをベースにして、デジタルツインを構築し、様々な分野で新しい展開も生まれています。
感染症拡大への対応をきっかけに、急発達しているテクノロジーを背景に非常に大きな変化が生まれていますが、その中で、医療はどのような姿を見せるのか、皆さんは関心があるでしょう。
<図表> メタバースとデジタルツイン
1 描いた未来地図を見つめ直そう
以前のコラムで、バックキャストアプローチについて紹介しました。未来の像を描き、今何を達成していく必要がありそうかを解きほぐしていくものです。
あっという間に2025年は目前になり、2030年のビジョンを身近なものと比べる時期になりました、さらには、2040年、2050年、はどうなのだろうかとまで考える時期に到達しつつあります。その時に、私は生きていないからいいや、では済まされません。SDGsにあるとおりサスティナブル、エシカルをしっかり考える必要があります。気候変動はわかりやすいテーマです。今の酷暑や豪雨、酷雪を考えるとき、私たちの行動を振り返る必要があります。そのうえで、未来に渡していく環境への目配りも必要です。ヘルスケアにも大きな関わりがあります。例えば、医療材料については、使い捨てを許容する文化ですが、果たしてそれで良いのでしょうか。また、気候変動により備えておくべきこと、暮らし方についてもヘルスケアと強く関係します。すでに熱中症対策は急務であり、災害による医療提供の困難への対応も急がなければなりません。
以前コラムで紹介した『医療4.0(新医療1.0)』を考えるときにも、もっと取り巻く環境への目配りが必要になりました。医療の場所は変化し、データの扱いはより個人的になり、医療の意思決定は個人の手の中にあります。大規模言語モデルが私たちの暮らしに浸透しつつありますが、大規模疾患モデルによって、一人一人の健康への示唆を得る手法も生まれています。一方で医療資源をもっと集約しなければならない状況になりました。医療従事者の労働衛生も真剣に考える必要があります。人間はミスを犯すものであり、疲れることも意識して、デジタルヘルスに用いられるテクノロジーを活用して、効率化と安全を叶えなければなりません。
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