基礎からのGPSP【第20回】

 

~製造販売後調査等業務の委託①~


はじめに
製造販売会社の様々な業務形態(体制)に応じ、また、業務の効率化を図るために他の製造販売業者や業務受託機関(CRO)に一定範囲の業務を委託することがある。しかしながら、委託業務の最終的な責任は、委託した製造販売会社が負う必要があることから、日常的に連携を取りながら、委託先の適正な業務遂行を如何にして確保していくかが重要になる。 また、製造販売会社であっても販売委託や販売提携等で、他の製造販売会社から調査等の委託があり、その要求する手順に則り、適正な業務遂行が求められる場合もあるので留意したい。

1.業務委受託の概要
製造販売後の安全管理、調査・試験等の業務の委受託はGPSMPにより、その運用が確立された。そして、GVPとGPSPに分割されたときに、安全管理業務の委受託については許可要件であるGVPとは分離され、薬機法施行規則にてその詳細が規定され、調査・試験等についてはGPSP内に規定されている。いずれの業務についてもその運用は同じで、業務を委託する者(以後、委託者という)は、手順書等で
  ➣ 委託する業務範囲
  ➣ 委託先の選定
  ➣ 委託先の管理
について定め、委託先の者(以後、受託者又はCROという)との連携体制を確保し、業務を遂行していかなければならない。

2.調査・試験等の委託 
製造販売後調査等業務の一部は、GPSPの規定により適正かつ円滑に遂行しうる能力のある者に委託することができるとされている。委託できる業務、また、委託時に定めておく必要のある事項、委託者として実施すべき事項につき確認する。
 
2.1  能力の事前確認
製造販売後調査等業務の一部を受託者へ委託する場合には、契約に先立ち受託者に当該製造販売後調査等業務を適正かつ円滑に遂行する能力があることを確認し、記録・保存する必要がある。能力の確認に際しては、以下の項目から委託業務内容に合わせて選定することに留意する必要がある。
1) 手順書等が完備されていること。
2) 受託製造販売後調査等実施責任者が設置されていること。
3) 委託する業務が適正かつ円滑に行われていることが確認可能であること。
4) 当社の受託者に対する指示が十分行いうること。
5) 指示を行った場合、受託者側において当該措置が講じられたことが確認可能であること。
6) 当社に対する十分な報告が行えること。
7) 文書保存体制が備わっていること。
8) 法令遵守に係る業務を行う部門・体制(コンプライアンス部門等)が設置されていること。

また、GPSP省令には直接的には規定されていないが、他のGXPに規定されている「問題発生時の予防と措置」に関しての手順が設定されているかについても留意する必要がある。(特に外資系では、CRO選定の必須要件としている場合が多い。)
さらには、再審査期間が長く、また、信頼性調査等の実施期間も考慮すると、委受託の契約期間は長期にわたることが多いいが、CROの事業規模は大小様々であることから、場合によっては、事業継続性についても「事業継続計画」等の有無を事前に確認しておくことも必要になってきている。

 

 

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