エッセイ:エイジング話【第64回】

pH. Eur.改定理由

 EU当局non-distillation method をWFI製造法へ有効とした2017年から遡ること2年前でしたが、この改定案を容認するに至った背景を公表しました。これを読み、筆者は驚愕したと言うか正直に大きなショックを受けました。
 当局から公表されたこの改訂理由説明文の中で、in the United States Pharmacopeia monograph and in the Japanese Pharmacopoeiaが、先行して蒸留に頼らない方式を採用していること、 other industries with a requirement for high quality water, rather than distillation, employ RO and UF to produce water that is equivalent to or of a better quality than WFI described in the Ph. Eur. 他分野が高純度水質を求める手段として、蒸留と同等もしくはそれよりもベターな品質として、ROとUFを採用している実績を挙げたのです。
 当局具体的に言うとEDQMは、これまで膜分離技術に対し懐疑的な意見を発信続けていました。EU圏内では過去に自国内で発生した滅菌不良というトラブルに対し、その再発防止策として、他極にはない独自規制ガイドラインを発信する傾向があることを過去にウオッチしてきました。
EDQM : European Directorate for the Quality of Medicines
 ICHでも、EU当局の代表は独自路線を展開していることもウオッチしていました。ところが、このたびの画期的な改正は、他極の薬局方もしくは他分野における膜技術採用実績を、改定理由に掲げたことになります。
ICH : International Conference on Harmonization of Technical Requirement for Registration of Pharmaceuticals for Human Use
 時代の流れでしょうか、メンバーが世代交代したのでしょうか、時がたち独自路線から他極や他分野へ合わせようとするいわば自粛に近い流れを感じます。

 この背景を筆者なりに探ると、EUの当局は日・米は元より、南アフリカを始めアジア圏ではインドネシア他など、EU圏以外の多くの国々がPIC/S に加盟するに至り、PIC/S GMP をベースにしたInspectionが地球規模で進展するとき、この分野で先進とされるUnited States Pharmacopeia 日本薬局方との調和を加味したと観ています。
 なぜなら、EFTA時代に端を発するCo- operation Schemeにおいて、貿易相手国側行政サイドが相互査察を行う時に、pH. Eur.のみWFI製造法が異なっては、査察業務を司る行政側を含め現場が混乱する。ここへ配慮する考え方へ進展したのではないでしょうか。

 

 

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