製薬用水の基礎知識【第3回】製薬用水設備の構成

2012/05/28 施設・設備・エンジニアリング

1. 原水の水質に注意しよう
 
 今回は、製薬用水をどのようにして製造するのか、設備の構成について紹介しましょう。
 
 製薬用水の規格について収載されている薬局方には、製薬用水に求める水質の基準とともに、製法に関しても示されています。「精製水」については『イオン交換、蒸留、逆浸透又は限外ろ過などを単独あるいは組み合わせたシステムにより、「常水」より製したものである』とあり、「注射用水」については『「常水」にイオン交換、逆浸透等による適切な前処理を行った水又は「精製水」の蒸留または超ろ過により製したものである』とあります。
 
 薬局方中に記載された、イオン交換、蒸留、逆浸透や限外ろ過などは、原水中に含まれるイオンや有機物を取り除く手段(=装置)です。たとえ原水が「常水」の基準を満たしていても、そこに含まれる不純物は一定ではありません。そこで原水に含まれる不純物の内容や量を考慮し、適切な装置を組み合わせ、規格に合致する製薬用水を製造するのです。原水の水質は設備構成を決定する上で極めて重要です。設計に際しては、季節変動を含めた詳細なデータを入手することが望ましいでしょう。
 

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執筆者について

田原 繁広

経歴

CM Plus Singapore Pte.Ltd.取締役。
CM Plus Vietnam Co., Ltd. 取締役会長。
1982年大手エンジニアリング会社入社。海外の石油精製/LNG基地のプロセス設計、試運転に従事後、国内の医薬品製造設備を始めとする生産設備のマネジメントを担当。その他、医薬製剤工場のGMP診断・コンサルタント業務など多数経験。2008年3月株式会社シーエムプラスに入社。2008年7月より取締役。2014年2月よりCM Plus Singapore Pte.Ltd.代表取締役社長。2015年7月より、CM Plus Vietnam Co., Ltd. 代表取締役社長兼務。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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