【第53回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、“変革推進、品質は儲かる”

改善を続ける仕組みづくり(その2)

【OPEXコミッティーの設置】
 OPEX推進室は活動方針を作成し、トレーニングやOPEX活動全体の管理、プロジェクトマネジメントなどを実施します。OPEX推進室とは別に、各部門代表者、部門OPEXリーダーを中心にOPEX推進に関する合意や意見交換を行うコミッティーを設置します。日本的名称としては部門代表者による連絡会や協議会、委員会との趣旨です。
 大きな活動方針はOPEX推進室が立案しますが、それを承認したり、各部門に展開してもらったりする役割を持ちます。部門ごとにOPEXへの取り組み方、活動テーマは異なります。お互いの進捗や取り組みについても情報交換したいものです。月1回程度コミッティーを開催し、部門での進捗を共有します。OPEX活動に関する意見やアイデアを共有することができ、ここでの協議や合意事項は部門に素早く展開できます。部門とOPEX推進室の連携がとれるので、活動全般の視野も良好になります。
 上記ポイントはOPEX推進室側からみた視点となりますが、それぞれの部門の一般従業員の視点からみてもOPEXコミッティーは価値がありました。身近な同僚がOPEXコミッティーに参加している、OPEX活動を身近に感じることができる、自分たちも何かやろうと思ってくれたことです。この視点とメリットは、あとから気づきました。
 部門間での情報共有や部門内へのPR方法、効果的な活動実績など、横連携にも役立つと、部門代表者によるOPEXコミッティーの設置はとても有効です。

<図53-1 OPEXコミッティーの設置>

【優秀プロジェクト発表会・表彰】
 OPEX活動、企業変革活動などを実施する場合、良いアイデアや改善施策、良いアウトプットに対しては発表会の場を設け、表彰することが大切です。年1回のOPEX発表会、OPEX Dayのようなイベントは準備と手間がかかりますが、改善活動のみならず他部門の業務を知る良い機会となります。
 以前に所属した会社では、事業所に隣接したイベントレンタル会議室スペースを1日使用し、10〜20組のベストプラクティス・パネル発表会を実施しました。10時から4時ころまで開催し、従業員は都合の良い時間に会場にきてもらいます。パネル見学やパネル前でプロジェクトリーダーから5分程度のプレゼンテーションを聞きます。会場を一周し、良かったプロジェクトに投票してもらいます。パネル発表会はプロジェクトコンペティションも兼ねます。OPEX活動の成果をプロジェクト発表会の形で行い、投票によりベストプロジェクトを決めます。最優秀、優秀プロジェクトは表彰を行います。もちろん参加賞も表彰します。従業員には、単に変革推進や改善活動を実施してくださいというだけでなく、発表会や表彰もあわせて実施することが、OPEX活動の持続につながります。
 発表会・イベント実施を通して学んだことがあります。一般従業員が自分の業務やプロジェクトを発表する機会は以外に無いのです。年1回でもこのような発表会・イベントがあると、通常業務に加えてモチベーションになるそうです。部門の代表として発表することができた、皆の前で表彰してもらうことは名誉なことです。賞金より、表彰されたという名誉が大事だと気づきました。さらに身近な同僚がプロジェクト発表したり、コンペティションに参加したりすると、職場の同僚は応援します。普段とは違う盛り上がりをみせることがあります。プロジェクト発表会・イベント実施と表彰は大切です。
 

<図53-2 優秀プロジェクト発表会・表彰>

【賢いやり方・Smarter Ways】
 OPEXの日常活動で実施する、「賢いやり方・Smarter Ways(スマーターウェイズ)」について紹介します。OPEX活動として実施する個々の小さな改善活動を「賢いやり方・Smarter Ways(スマーターウェイズ)」と呼んでいます(単数系でSmarter Wayと呼ぶこともあります)。内容は職場の整理整頓の5S活動、ムリ・ムダ・ムラの低減、8つのムダと改善、ばらつきやボトルネックを見つけて改善するなど、テーマは自由です。自身の職場で小さな改善活動を実施して、それをSmarter Waysの形で報告してもらいます。実施内容は他にも、SLQDC(Safety, Legal, Quality, Delivery, Cost)、SDGs、グリーン活動に関連した内容でもOKです。大きなプロジェクトであれば、そのなかで実施したアイデアやプロジェクトを進める上での改善施策もSmarter Waysで報告してもらいます。
 企業によっては、改善提案やQC活動の成果物がSmarter Waysに相当するかもしれません。Smarter Waysではアイデアは提案するだけではなく、実際に自分またはグループで実行してみます。その結果を改善前後の違いがわかるよう1ページのフォーマットでBefore/Afterを、改善指標、改善効果(金額相当)を含めて報告します。Smarter Waysでは内容の大きい、小さいは問いません。具体的に金額効果が出ないものもあります。小さな改善アイデアの積み重ねが大切なのです。
 職場のグループで1つ実施する、慣れてくると正社員は1件/年の実施を目標とします。OPEX活動への全員参加が基本ルールです。1ページの報告フォームは作成する方もシンプルです。報告のとりまとめはOPEX推進室で行います。提出してもらった1ページのフォームは食堂や廊下に掲示、または社内のTVモニターにパワーポイントのスライドショー形式で繰り返し上映します。
 Smarter Waysを実施して気づいたことがあります。年1回の発表会・イベントだけでなく、小さな改善、他の人が行う日々の賢いやり方は、皆の日常業務に役立つということです。自分の業務成果が掲示物や社内TVモニターに映し出されるのも嬉しいものです。また掲示物やTVモニターを見ながら、自分も参考にしようとか、頑張ろうという気持ちにもなります。数年続けると、パワーポイントの使い方やプレゼンテーションも確実に上達するという相乗効果もみられました。
 スマートに実施して、スマートに報告、スマートに情報共有するのが、スマーターウェイズです。
図53-3は、実施したSmarter Waysの例です。1ページにまとめまっていて、とてもシンプルで分かりやすいです。

<図53-3 賢いやり方・Smarter Ways>

 

 

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