GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第75回】

2024/02/02 品質システム

医薬品製品標準書について。

 

医薬品製品標準書


1.承認事項の遵守

 製品標準書はGMP省令で求められている文書である。GMP省令が改正され、承認事項の遵守が求められた。製品標準書に製造方法、規格及び試験方法等を記載しなければならないが、承認事項と一致していなければならない。承認事項の遵守とは、医薬品の製造販売承認書に記載した項目とその内容に染むかないことである。そのために、製造業者と製造販売業者の連携、連絡は欠かすことができない。

第3条の2(承認事項の遵守)
 法第14条第1項に規定する医薬品又は医薬部外品に係る製品の製造業者等は、当該製品を法第14条第1項若しくは同条第15項(法第19条の2第5項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)又は法第19条の2第1項の承認を受けた事項(以下「承認事項」という。)に従って製造しなければならない。ただし、法第14条第15項の軽微な変更を行う場合においては、同条第16項(法第19条の2第5項において準用する場合を含む。)の規定による届出が行われるまでの間は、この限りでない。


 GMP省令が改正され、承認事項の遵守が求められ、製造業者は医薬品の承認事項に関する製造管理、品質管理について承知していなければならない。GMP省令改正前は、承認事項の遵守について、製造販売業者からGQP管理として求められていたが、承認事項に反する製造管理や品質管理を行っていた時、今後は、GMP省令の違反となる。医薬品の承認書に記載された事項を製販から情報として収取し、取決めとしなければならない。製品標準書に記載する製造手順や試験検査方法などが承認事項に反することがないか確認する必要がある。製造販売業者は、GQP管理として、取決めや監査で、承認事項に反していないかを確認していたが、GMP省令に承認事項の遵守が規定されたことで、製造業者に、承認事項を伝えることが必要になった。承認事項を製造業者に伝えたことを文書としなければ、承認事項に関して、違反として当局から指摘されたとき、その原因を製販にされてしまう。情報伝達や取決め等にて、製造業者が承認事項を理解できるだけの情報として、文書の記録を残す必要がある。
 医薬品製造販売承認に記載されている事項をGMP管理に関する点は、製造業者がすべて把握しなければならない。しかし、製造業者が製造委託として製造している時、製造販売業者から医薬品製造販売承認事項を情報提供されていなければ、承認事項を遵守することができない。製造方法や試験方法など、製造業者は製造管理及び品質管理にかかわる事項を把握することが必須である。

<図1 医薬品の製造販売承認書>

 

 

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執筆者について

中川原 愼也

経歴

GMPコンサルタント
1984年神奈川県庁に入庁し、1997年国立公衆衛生院(現在の国立保健医療科学院の前身)でGMP研修を受講後、薬務課及び小田原保健所等で医薬品等の製造販売業、製造業の許認可、審査、指導を主にGMP・GQPリーダー査察官として16年にわたり活躍した。その間、MRA(日・欧州共同体相互承認協定)の締結の際のEUの調査、2005年の製造販売承認制度の施行に携わり、PIC/S加盟にあたり、厚生労働省の委員等委嘱を受け、次の活動に参加した。
平成20、21年度 GMP/QMS調査・監視指導整合性検討会委員
平成21、22年度 厚生労働科学研究~GMP査察手法の国際整合性確保に関する研究
2012年に神奈川県庁を退職し、医薬品原薬輸入商社であるコーア商事株式会社で、品質保証部長として国内管理人としてのGQP取決め及び医薬品製造業としての GMP管理を統括した。2015年から株式会社ファーマプランニングにて、GxPコンサルタント業務に携わる。2017年高田製薬株式会社に入社、大宮工場の製造管理者、品質統括担当参事を経て、2021年より生産本部顧問に就任。同年より中間物商事株式会社品質保証部部長として勤務。
2021年11月より、共和薬品工業株式会社鳥取工場品質保証部長となる。
2022年4月からGMPコンサルタントとして独立したが、2023年2月硬膜動静脈瘻に疾病し、言語障害となった。退院後、自宅にてトレーニングし、完治。8月にネオクリティケア製薬株式会社品質保証部に入社、従来通り活動をしている。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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