知的財産の基本から知財ミックスまで【第19回】

2024/01/19 その他

意匠特有の制度について。

 

意匠特有の制度1

 こんにちは、弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士の高松孝行です。

 前回までで、一般的な意匠制度の概要を説明しましたので、今回から意匠特有の制度を説明します。

 まずは、「秘密意匠制度」について説明します。

1.秘密意匠制度について
 秘密意匠制度とは、出願人の請求により意匠登録の日から3年を限度として登録意匠の内容を公報に掲載せず、秘密にしておくというものです。

 この制度は、登録された意匠を公開しないという例外的なものですが、次のような理由により認められているとされています。
(1) 商品の販売前に、登録意匠が記載された意匠登録公報が発行されてしまうと、商品の広告、販売計画に支障をきたす場合があること
(2) 登録意匠が記載された意匠登録公報が発行されてしまうと、その意匠権者の将来の意匠の傾向を第三者に知られてしまうこと
(3) 登録意匠が記載された意匠登録公報が発行されてしまうと、その意匠を基としてそれを模倣した意匠を創作されてしまうおそれがあること
 

2.秘密意匠制度のメリット・デメリット
 秘密意匠制度のメリットとしては、上記の理由と被る部分はありますが、次のようなことが挙げられます。
(1) 非公開性
 意匠を公開することなく意匠登録できるので、競合他社による模倣等を防止することができる
(2) 公開のタイミングを調整可能
 秘密意匠の秘密期間を調整することができるので、自社にとって一番有利なタイミングで登録意匠を公開させることができる

 一方デメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
(1) 権利行使(差止請求等)を行う際に、特許庁長官の証明を受けた書面を提示する必要があること
(2) 出願手数料とは別に、秘密にすることを請求する手数料を特許庁に支払う必要があること

 

 

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執筆者について

高松 孝行

経歴

ブランシェ国際知的財産事務 共同代表弁理士。
茨城県出身。東京工業大学大学院にて原子核工学を専攻。大学院での研究経験を生かして、弁理士となる。特許事務所勤務を経て、独立行政法人産業技術総合研究所(現国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研))にて、医薬・医療機器関係の技術を含む技術移転業務に従事。数百社との技術移転交渉、1,000通を超える契約書作成を経験。産総研退職後、2015年3月事務所開設。現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業カタライザーおよび独立行政法人中小企業基盤整備機構の中小企業アドバイザー等の公的機関の専門家として、医学部の教授、医師、医療機器メーカー、医療ベンチャー企業等の支援を行う。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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