知的財産の基本から知財ミックスまで【第17回】
意匠の登録要件について4
こんにちは、弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士の高松孝行です。今回は意匠と同一・類似について説明します。
意匠の同一・類似は、特許庁の出願審査の際だけでなく、意匠権侵害の際にも関係する非常に重要な考え方になります。
1. 意匠について
物品の同一・類似および形態の同一・類似を説明する前に、意匠について簡単に説明します。
意匠は、次の図に示すように、物品と形態(デザイン)の両面から特定されます。
したがって、意匠の同一・類似を考える際には、物品の同一・類似と、形態の同一・類似の2つの面から考える必要があります。
2.物品の同一・類似
物品の同一とは、物品の用途および機能が同一のものをいいます。物品が同一とは、言葉通りのことなので、説明は省略します。
一方、物品の類似とは、物品と用途および機能が類似するものをいいます。例えば、物品がシャープペンシルの場合には、ボールペンは筆記具としての機能および用途がシャープペンシルと類似するので、シャープペンシルとボールペンは類似物品になります。
3.形態の同一・類似
形態(デザイン)の同一とは、言葉通りのことなので、説明は省略します。
一方、形態(デザイン)の類似とは、文字通り、形態(デザイン)が類似のものをいいますが、形態が類似するか否かの判断は非常に難しいです。
実際の審査では、形態の類似の判断は、一般的には次のような判断手法によって判断されるとされています。
(1) 需要者(取引者を含む)の判断を基準とする
(2) 全体観察により総合判断される
(3) 見易い部分は重要視される
(4) ありふれた部分は、軽視される
(5) 外観で判断し、観念は見ない
(6) 大小の違いは通常軽視される
(7) 材質の違いは軽視される
(8) 機能、構造、精度、質感は外観に現れない限り無視される
(9) 色彩の違いは通常軽視される
形態の類似は、個別具体的に判断する必要があるため、どのくらい似ていれば類似と判断されるのかということを一概に言うことができない点にご留意ください。
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