ゼロベースからの化粧品の品質管理【第33回】

今回は、委託生産、OEM/ODMについて。
―化粧品の委託生産における品質保証体制について―
化粧品GMPに関して、ISO22716の手順書に続き、実務運用の中で気になっている事項についてお話させて頂いています。今回は、セミナーの要望が最近多かった委託生産、OEM/ODMで管理職の方の発言で気になった点についてお話します。
委託生産における注意事項としては、事業戦略的な視点や経営面、一般的な製造における品質、コスト、納期面でも幅広い事項が対象になります。更に、海外製造所と委託生産をやり取りする場合には、法規面や商取引における法規や慣習、資金回収まで一層複雑な対応が求められます。しかしながらこれらのことを延々と説明する訳にはいきませんので、今回のテーマについては一番基礎的な法規、GMP面に絞りお話させて頂きます。
ところで、皆さんは化粧品で使われているOEM/ODMという言葉にについて、どのような認識を持っておられるのでしょうか?実態としては、この二つの区分はあまり明確にされておらず、一般的な生産の外部委託もOEMと表現使われているように感じます。
サプライチェーンからの論点でどのように捉えているのでしょうか? ここでは、a)OEM:生産における外部委託生産(原材料の調達、バルク製造、充填仕上げ、製品の製造所からの出荷まで)、b)ODM:製品の企画段階から生産までの外部委託生産である、と定義させて頂きます。
更に、外部委託生産における技術的動機を見てみると、c)自社の技術インフラが同等以上の場合と d)自社の技術インフラが不十分である場合には別れます。従って、a)、b)とc)、d)の組み合わせにより、品質保証の具体的な進め方や注意点は違います。従って、外部委託生産の話をする場合には、この区分をあまり明確にされずにお話をされている方が多いように感じますが、この点は明確に前提条件を明確にして議論された方が良いように感じます。
それでは早速全体的な話の中から、委託元としての視点から具体的な事例で話をさせて頂きます。
A社ではバルクを自社工場Bで製造して、外部製造所のC社に充填・包装・仕上げの加工を委託して、完成品を自社工場Bに戻して、自社工場Bで製品検査を行い市場出荷しています。B工場の方から市場出荷はA社本社で行っているものの、C社の指導はB工場を行っているが、どのように監査や定期指導を行うべきかB社の方から質問を受けました。しかしながら、そもそも法的要求に対して理解されているのか疑問を感じました。皆さんは如何でしょうか?
<疑問点>
D社では自社工場では化粧品の開発、製造に関するノウハウを持っていないため、E社に対してイメージにあった商品をサンプル制作から最終製品の量産までを一貫して委託しています。市場出荷に関してはE社から発行される製造所としての試験結果を含む出荷判定書を受領し、外観検査と使用性をD社の品質部門が確認した後に市場出荷判定を行い出荷している。
但し、E社では自社内ではピロー包装機を保有していないため、関連会社のF社に加工を委託して対応している。その後、最終的にはE社製品が戻されるためD社としてはE社との取引としている。
<疑問点>
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