知的財産の基本から知財ミックスまで【第12回】

2023/05/19 その他

意匠の概要について。

意匠の概要について

(1)医療機器開発と意匠
 こんにちは、弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士の鈴木徳子です。今回から意匠に関する記事がスタートします。

 医療機器に関する知的財産といえば、ほとんどの方が特許を真っ先に思い浮かべると思います。

 医療機器メーカーの開発者の方たちは、競合品との差別化を図るために日々研究開発に邁進しています。例えば、製造コストを抑えるために、開発製品の構造を簡略化して部品点数を減らしたり、製品の操作性を高めるために新しい機能を付加したりと、工夫を凝らしています。
 このような工夫を凝らす中で生まれた技術については、特許で守ることが非常に重要です。時間とコストをかけて一生懸命開発した技術を、競合他社にパクられてしまっては元も子もありません。

 医療機器メーカーの開発者の方とお話をしていると、技術を特許で守るという意識は浸透しているな、という印象は受けます。しかし、活用できる知的財産は特許だけではありません。特許以外に、デザインを保護する意匠やブランドを保護する商標もあります。

 医療機器開発においては、実際に操作をする医師等の使い勝手を良くするためにデザイン自体を改良することも多いです。デザインの改良によって、操作性がぐんとアップすることもあります。そして、デザイン改良の過程で様々なバリエーションのデザインを考案することもあります。
 このようなときは、これらのデザインを意匠権によって守ろう、という意識を是非もっていただきたいと思います。試行錯誤しながら改良したデザインは意匠で守って下さい。
 特にディスポーザブル製品は、継続的に購入されるものであり、特許で保護できない場合には、意匠による保護が可能かどうか検討することをお勧めします。
 

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執筆者について

鈴木 徳子

経歴

ブランシェ国際知的財産事務所 共同代表弁理士。
代々医師の家系に生まれ医学書に囲まれた生活を送ったが、医師にはならずに文系の道を進み知的財産の専門家になった。一橋大学経済学部卒業。現ウォルト・ディズニー・ジャパンでキャラクターのブランディングを担当し、商品化権(著作権や商標権など)に基づくライセンスビジネスに携わる。ディズニー時代に初めて、「知的財産権」という言葉に出合い、その重要性を実感し弁理士になる。その後、外国知的財産サービス会社で大手日本企業(医薬品、化粧品、素材系メーカーなど)の全世界120か国における商標権取得、企業合併に伴う権利移転手続や侵害対応などに携わる。2015年3月事務所開設。大学や各種セミナーで講師も務める。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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