知的財産の基本から知財ミックスまで【第9回】

2023/02/17 その他

引き続き、特許庁からの審査結果の通知について。

特許庁からの審査結果の通知について(3)

(1) はじめに
 特許出願をした後に、特許庁の審査官に特許になるかどうかの審査をしてもらうためには、第5回で解説した審査請求を申請する必要があります。審査請求を申請して審査官が審査した結果、拒絶理由が発見できない場合や、第7回および第8回で解説した拒絶理由通知が出されて、それに対して適切に反論し拒絶理由が解消した場合には、特許庁から特許査定が通知されます。

(2) 特許査定について
 特許査定とは、特許庁の審査官が、その特許出願について特許を与えることができない理由(拒絶理由)を発見できないと判断した場合に出される通知です。

 特許査定とは、次のような通知になります。
 

 

 赤枠で囲んだ部分には、「この出願については、拒絶の理由を発見しないから、特許査定をします。」と記載されています。

 「拒絶の理由を発見しないから」という部分を見ると、否定的に記載されており、違和感を持つ方も多いと思います。

 これは、「審査官は、特許出願について拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の査定をしなければならない。」(特許法第51条)という理由からです。

(3)特許査定に対する対応
 この特許査定に対しては、特許料(第1年分から第3年分)を納付することにより、無事特許登録されることになります。登録料を納付しない場合は、最終的に出願が却下されます。

 なお、特許料については、減免措置の対象となっていますので、適用できる場合には適用した方がよいでしょう。

 また、特許料納付については、第3年分以上も一括して納付することも可能です。例えば、存続期間満了まで一括して特許料を納付することも可能です。

 そして、特許料を納付すると、次ページのような特許証が送付されます。

 

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執筆者について

高松 孝行

経歴

ブランシェ国際知的財産事務 共同代表弁理士。
茨城県出身。東京工業大学大学院にて原子核工学を専攻。大学院での研究経験を生かして、弁理士となる。特許事務所勤務を経て、独立行政法人産業技術総合研究所(現国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研))にて、医薬・医療機器関係の技術を含む技術移転業務に従事。数百社との技術移転交渉、1,000通を超える契約書作成を経験。産総研退職後、2015年3月事務所開設。現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業カタライザーおよび独立行政法人中小企業基盤整備機構の中小企業アドバイザー等の公的機関の専門家として、医学部の教授、医師、医療機器メーカー、医療ベンチャー企業等の支援を行う。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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