知的財産の基本から知財ミックスまで【第8回】

2023/01/20 その他

今回も引き続き、特許庁からの審査結果の通知について。

特許庁からの審査結果の通知について(2)

(1) はじめに
 特許出願をした後に、特許庁の審査官に特許になるかどうかの審査をしてもらうためには、第5回で解説した審査請求を申請する必要があります。審査請求をすると、しばらくして特許庁から拒絶理由が通知されることが多いです。
 そして、この拒絶理由通知には、「最初の拒絶理由通知」と、「最後の拒絶理由通知」があります。

(2) 拒絶理由通知について
 第7回にも書きましたが、「最後の拒絶理由通知」とは、原則として「最初の拒絶理由通知」に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知する拒絶理由通知です。ただし、二回目以降の拒絶理由通知が、必ず「最後の拒絶理由通知」になるとは限りませんので注意してください。

 この最後の拒絶理由通知に対しては、補正できる範囲が非常に限定されてしまいます。これは、広い範囲の補正を認めてしまうと、今までの審査を無駄になってしまう可能性があるからです。

(3) 補正できる範囲について
最後の拒絶理由通知に対する補正は、次のものに限定されてしまいます。
 ① 請求項の削除 
 ② 特許請求の範囲の限定的減縮
 ③ 誤記の訂正
 ④ 明りょうでない記載の釈明(最後の拒絶理由通知で指摘されたものに限る)

 これらを見れば分かると思いますが、最初の拒絶理由通知に対する補正と違って、明細書中の記載に基づく新たな請求項を追加すること等はできない点に注意が必要です。

(4) “最後の”拒絶理由通知について
 最後の拒絶理由通知は、例えば次のような通知になります。
 

引用:最後の拒絶理由通知(一部筆者追加)

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執筆者について

高松 孝行

経歴

ブランシェ国際知的財産事務 共同代表弁理士。
茨城県出身。東京工業大学大学院にて原子核工学を専攻。大学院での研究経験を生かして、弁理士となる。特許事務所勤務を経て、独立行政法人産業技術総合研究所(現国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研))にて、医薬・医療機器関係の技術を含む技術移転業務に従事。数百社との技術移転交渉、1,000通を超える契約書作成を経験。産総研退職後、2015年3月事務所開設。現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業カタライザーおよび独立行政法人中小企業基盤整備機構の中小企業アドバイザー等の公的機関の専門家として、医学部の教授、医師、医療機器メーカー、医療ベンチャー企業等の支援を行う。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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