製薬用水の基礎知識【第2回】3極(日米欧)の規格を比較する

2012/04/16 施設・設備・エンジニアリング

1.JP、USP、EP
 
 薬づくりに使用される「水」は「製薬用水」とよばれ、医薬品の品質と密接な関わりをもつため、GMP対象として一般の水とは区別して管理されます。前回は、日本薬局方に基づいた製薬用水の規格についてご説明しましたが、実は、この規格が世界共通の規格というわけではありません。これは、日本薬局方と同様に各国にも薬局方が存在し、それぞれの薬局方が、それぞれに最新技術や国内の製薬状況を鑑みながら改定されてきているので、各薬局方に収載されている規格が必ずしも一致しないためです。
 
 日本では日本薬局方(JP)に製薬用水の規格が示されていることと同様に、米国では米国薬局方(The United States Pharmacopeia: USP)、欧州では欧州薬局方(The European Pharmacopeia: EP)に示されています。各薬局方を発行している組織についても、少しご説明しましょう。日本薬局方は公的機関である厚生労働省から発行されますが、USPはFDAとは異なる民間組織のUnited States Pharmacopeial Convention,Inc.が作成し、毎年改正が行われ追補が年2回刊行されています。一方、欧州薬局方(EP)は、欧州評議会(Council of Europe)の中にあるEDQM(European Director for the Quality of Medicines and HealthCare)から発行されています。
 

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執筆者について

田原 繁広

経歴

CM Plus Singapore Pte.Ltd.取締役。
CM Plus Vietnam Co., Ltd. 取締役会長。
1982年大手エンジニアリング会社入社。海外の石油精製/LNG基地のプロセス設計、試運転に従事後、国内の医薬品製造設備を始めとする生産設備のマネジメントを担当。その他、医薬製剤工場のGMP診断・コンサルタント業務など多数経験。2008年3月株式会社シーエムプラスに入社。2008年7月より取締役。2014年2月よりCM Plus Singapore Pte.Ltd.代表取締役社長。2015年7月より、CM Plus Vietnam Co., Ltd. 代表取締役社長兼務。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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