医療機器の生物学的安全性 よもやま話【第22回】

2021/10/15 医療機器

発熱性物質試験のうち、最も古くから利用されているウサギ発熱性物質試験の概要を示す。

発熱性物質試験の実際

 発熱性物質試験のうち、最も古くから利用されているウサギ発熱性物質試験の概要をお示しいたします。

 まずはウサギの直腸温を測定します。と言っても、ウサギはじっとしてくれませんので、保定器に入れます。首枷(クビカセ)式保定器といういささかモノモノしい名称の、首輪を固定したような器具に入れ、お尻から体温計のセンサーを挿入します。犬でもそうですが、初めて首輪をつける際は嫌がって暴れたりします。そうすると興奮して体温が上がってしまいますので、試験前に保定器に慣れさせる訓練を行います。そして、センサーにも慣れてもらう訓練もします。ふつう朝に保定器につないで、夕方ケージに戻しますが、その間食事も水も摂れません。そう聞くと、かわいそうと思われるかもしれませんが、ウサギは薄明薄暮性のサーカデイアンリズムで生活しているようで、明け方と夕暮れ時以外は、寝たり起きたりを繰り返します。したがって、人間の活動時間(勤務時間)は、どちらかというとボーっとしているような時間帯ですので、思うほどかわいそうではないのかもしれません。また、保定器に慣れると体温も安定しますので、やはり昼間はあまり活動的ではないのだと思います。ウサギは臆病な動物ですので、攻撃的になることはまずないのですが、まれに実験者の指などを噛むことがあります。私も経験がありますが、こちらはあまり警戒しておらず油断しているのでこっぴどく噛まれます。上下2本ずつの切歯(前歯)はかなり鋭く、骨まで達して流血するほどのケガになってしまいます。

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執筆者について

勝田 真一

経歴 一般財団法人日本食品分析センター 理事
1986年財団に入所し、医療機器、医薬品、食品、化粧品及び生活関連物資等の生物学的安全性評価に従事。1997年佐々木研究所研究生として毒性病理学及び発癌病理学研究に携わる。1999年東京農工大学農学部獣医学科産学共同研究員として生殖内分泌学研究。日本毒性病理学会評議員、ISO/TC194国内委員会、ISO/TC194 WG10 Technical ExpertやJIS関連の委員などを歴任。財団では薬事安全性部門を主管し、GMPやGLP対応を主導。情報システム部門担当を歴任。大阪彩都研究所長を経て現在北海道千歳研究所長。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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