医療機器の生物学的安全性 よもやま話【第22回】

発熱性物質試験のうち、最も古くから利用されているウサギ発熱性物質試験の概要を示す。
発熱性物質試験の実際
発熱性物質試験のうち、最も古くから利用されているウサギ発熱性物質試験の概要をお示しいたします。
まずはウサギの直腸温を測定します。と言っても、ウサギはじっとしてくれませんので、保定器に入れます。首枷(クビカセ)式保定器といういささかモノモノしい名称の、首輪を固定したような器具に入れ、お尻から体温計のセンサーを挿入します。犬でもそうですが、初めて首輪をつける際は嫌がって暴れたりします。そうすると興奮して体温が上がってしまいますので、試験前に保定器に慣れさせる訓練を行います。そして、センサーにも慣れてもらう訓練もします。ふつう朝に保定器につないで、夕方ケージに戻しますが、その間食事も水も摂れません。そう聞くと、かわいそうと思われるかもしれませんが、ウサギは薄明薄暮性のサーカデイアンリズムで生活しているようで、明け方と夕暮れ時以外は、寝たり起きたりを繰り返します。したがって、人間の活動時間(勤務時間)は、どちらかというとボーっとしているような時間帯ですので、思うほどかわいそうではないのかもしれません。また、保定器に慣れると体温も安定しますので、やはり昼間はあまり活動的ではないのだと思います。ウサギは臆病な動物ですので、攻撃的になることはまずないのですが、まれに実験者の指などを噛むことがあります。私も経験がありますが、こちらはあまり警戒しておらず油断しているのでこっぴどく噛まれます。上下2本ずつの切歯(前歯)はかなり鋭く、骨まで達して流血するほどのケガになってしまいます。
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