ゼロベースからの化粧品の品質管理【第12回】

今回は、幅広い内容になりますが、構造・設備について解説をする。
化粧品GMP手順書の作り方 ②構造設備
前回は、① 教育・訓練の手順書を作成する際に明記すべき事項について説明いたしました。今回は、幅広い内容になりますが、②構造・設備についてお話します。
この項目についてお話をする時に責任者の方から良く出る話として、『うちの工場は古い建屋だから色々言われても対応はできないよ!』、『今更構造設備の話しをされても、お金を掛けられないから無理!』ということを良くお聞きします。しかしながら、私は口には出さないものの、“ソフト面からの対策はないの?”、“汚染リスクを下げる方法としては、製品に特化してアイソレーションの対応ができないの?”と思うことが度々あります。一方で、先日見せて頂いた新しい工場では、蠅取り紙が製造室の入り口にぶら下がっていました。“UVカットフィルムを貼る、光が外から直接見えないようにする、更に、吸引タイプの捕虫器の設置はできないの?”と疑問を感じました。更に、窓枠は段差があるタイプの嵌め殺しのタイプで、製造室を上から見学できる構造でした。“掃除はどうするの?”と心配になりました。また、天井が高く、しかも段差も有り、塵埃がまったら全体に舞い散りそうでした。加えて、“部屋の換気回数は確保できるの?”と疑問が残る構造でした。新しい工場を自慢される気持ちは良く判りますが、“綺麗な工場≠GMP対応が出来ている” ではありません。もう一度、基礎的な要素の事項から確認していきましょう!
1.構造設備の必要要件
基本的な構造設備は、次の基礎的な3要件を満足し、説明できるように設計、設置、利用、管理することが必要です。但し、多くは制約のある中での対応となりますので、基本的は部屋全体での対応を考えるのではなく、局所的にカバーする工夫、知恵を出すことが重要です。この点に関しては、最近ではインターネットで情報があふれていますので、無菌性の製薬工場の一部の取り組みを取り入れて靴を履き替え、つなぎの無塵服に着替え、ゴーグル、マスクを着用されているケースも多く見ます。しかしながら、空調機の吹き出し口の真下に充填機のバルク用ホッパーがあったり、納入されたままの段ボールが製造室、充填室に運び込まれているといった矛盾点も見られたりします。先ずは、汚染リスクに基づきリスクアセスメント、リスクマネジメントを実施する、汚染リスクからすれば手や上半身の汚染源対策に特化し、実際の検証結果からシンプル化することも現実的と考えます。
(構造設備で確保すべき要件)
a) 製品の品質を確保し、保護する構造である。(衛生面、交差汚染等の対策)
b) 埃等が溜まらない、更に、効率的に清掃、衛生管理、保守が行える構造である。
c) 原料、包装材料、製品の交差汚染、混同のリスクを防止・最小限にする構造である。
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