品質に関する承認申請資料について【第9回】
第8回に続き、筆者のもとに寄せられた質問から、規格及び試験方法/ロット分析、安定性について解説を試みたい。
2. 規格及び試験方法/ロット分析について
規格及び試験方法/ロット分析で挙げられる質問には次のようなものがある。
「確認試験がHPLCの保持時間だけであるが?」、「システム再現性がn=5であるが?」、「標準物質に対する考え方が違うが?」、「重金属試験/ヒ素試験がUSP法/EP法であるが?」、「残留溶媒規格が実測に基づいていないが?(ICH限度値である)」
最初に承認申請と局方の規格及び試験方法の相違を考える必要がある。
厚生労働省から示された「第十七改正日本薬局方作成基本方針」(平成23年9月13日医薬食品局審査管理課事務連絡)には、「日本薬局方は我が国の医薬品の品質を適正に確保するために必要な規格・基準及び標準的試験法等を示す公的規範書」であり、その役割と性格は「公的・公共・公開の医薬品品質規範書」と位置づけられている。
即ち、広く一般に用いられるのが局方の規格及び試験方法である。一方、承認申請における規格及び試験方法を用いて試験を行うのは海外の製造元と国内では自社内のせいぜい数ヵ所である。広く一般に用いられるよう意図された規格及び試験方法、言いかえると多くの人が共通理解のもとで利用するものと、たかだか数ヵ所で理解して用いられる規格及び試験方法では、医薬品の品質を適正に確保するという目的は同じであっても、自ずと相違が生じるものである。
例えば、局方の試験方法では多くの人が共通の理解を得るため、局方記載の手引きに従い一定のルールに従って記載する必要がある。一方、承認申請では、局方に準じて一定のルールで記載する必要はあるのはもちろんであるが、外国製造元との整合性及び自社内で共通の理解を得られるよう配慮する必要がある。したがって、承認申請では局方より詳しく試験方法を書く必要が生じる場合もあるし、局方とは異なる記載方法をとった方が適切である場合もある。
試験項目についても同様に考えられる。例えば、局方で規定されているが外国で規格設定のない試験項目(例えば、確認試験のUV等)の国内申請はどうしたらよいかとの質問を受けることがある。確認試験は,医薬品又は医薬品中に含有されている有効成分などをその特性に基づいて確認するための試験であるという目的が十分に満たされているのであれば、局方及び承認申請の違いを考えるとき、局方では通常UVによる確認試験が設定されるという理由からだけで承認申請で必須になるとは限らないことは容易に判断がつくことである。
また、「重金属試験/ヒ素試験がUSP法/EP法であるが?」との質問についても、局方と承認申請の違いを考慮し、製剤輸入であるのか、あるいは原薬を輸入して国内で製剤化をするのかを考えれば自ずと方向性は出てくるものである。製剤輸入であり国内で原薬の試験を行う予定が無い場合、JP法を設定する妥当性はないであろう。日本向け製剤に用いる原薬にのみ現地でJP法による試験を課す方が、GMP上の混乱を招くと考える方が妥当であろう。承認申請で外国薬局方に基づく一般試験法を採用する場合は、外国薬局方の一般試験法の全文を記載する。通例、USP法/EP法で得られたロット分析の結果とJP法の結果で差があることは考えられず、データをそのまま用いることは可能と考える。必要に応じて原理/操作法を比較することで納得は得られるものである。
2. 規格及び試験方法/ロット分析について
規格及び試験方法/ロット分析で挙げられる質問には次のようなものがある。
「確認試験がHPLCの保持時間だけであるが?」、「システム再現性がn=5であるが?」、「標準物質に対する考え方が違うが?」、「重金属試験/ヒ素試験がUSP法/EP法であるが?」、「残留溶媒規格が実測に基づいていないが?(ICH限度値である)」
最初に承認申請と局方の規格及び試験方法の相違を考える必要がある。
厚生労働省から示された「第十七改正日本薬局方作成基本方針」(平成23年9月13日医薬食品局審査管理課事務連絡)には、「日本薬局方は我が国の医薬品の品質を適正に確保するために必要な規格・基準及び標準的試験法等を示す公的規範書」であり、その役割と性格は「公的・公共・公開の医薬品品質規範書」と位置づけられている。
即ち、広く一般に用いられるのが局方の規格及び試験方法である。一方、承認申請における規格及び試験方法を用いて試験を行うのは海外の製造元と国内では自社内のせいぜい数ヵ所である。広く一般に用いられるよう意図された規格及び試験方法、言いかえると多くの人が共通理解のもとで利用するものと、たかだか数ヵ所で理解して用いられる規格及び試験方法では、医薬品の品質を適正に確保するという目的は同じであっても、自ずと相違が生じるものである。
例えば、局方の試験方法では多くの人が共通の理解を得るため、局方記載の手引きに従い一定のルールに従って記載する必要がある。一方、承認申請では、局方に準じて一定のルールで記載する必要はあるのはもちろんであるが、外国製造元との整合性及び自社内で共通の理解を得られるよう配慮する必要がある。したがって、承認申請では局方より詳しく試験方法を書く必要が生じる場合もあるし、局方とは異なる記載方法をとった方が適切である場合もある。
試験項目についても同様に考えられる。例えば、局方で規定されているが外国で規格設定のない試験項目(例えば、確認試験のUV等)の国内申請はどうしたらよいかとの質問を受けることがある。確認試験は,医薬品又は医薬品中に含有されている有効成分などをその特性に基づいて確認するための試験であるという目的が十分に満たされているのであれば、局方及び承認申請の違いを考えるとき、局方では通常UVによる確認試験が設定されるという理由からだけで承認申請で必須になるとは限らないことは容易に判断がつくことである。
また、「重金属試験/ヒ素試験がUSP法/EP法であるが?」との質問についても、局方と承認申請の違いを考慮し、製剤輸入であるのか、あるいは原薬を輸入して国内で製剤化をするのかを考えれば自ずと方向性は出てくるものである。製剤輸入であり国内で原薬の試験を行う予定が無い場合、JP法を設定する妥当性はないであろう。日本向け製剤に用いる原薬にのみ現地でJP法による試験を課す方が、GMP上の混乱を招くと考える方が妥当であろう。承認申請で外国薬局方に基づく一般試験法を採用する場合は、外国薬局方の一般試験法の全文を記載する。通例、USP法/EP法で得られたロット分析の結果とJP法の結果で差があることは考えられず、データをそのまま用いることは可能と考える。必要に応じて原理/操作法を比較することで納得は得られるものである。
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