ラボにおけるERESとCSV【第3回】

2015/03/09 施設・設備・エンジニアリング

望月 清

4.厚労省ERES指針
(前回より続く)

(3)電子署名の要件
  電子署名を利用する場合の要件は以下の通りである。

1)電子署名法1)に基づき、電子署名の管理・運用に係わる手順を文書化し実施すること。
 例えば、パスワードなどの電子署名の要素を機密にするなど、管理・運用の手順を文書化し適切に実施する必要がある。

2)電子署名は各個人を特定できる唯一のものとし、他の誰にも再使用、再割当しないこと。
 例えば、退職した社員のIDを他の人に再割り当てしはいけない。

3)電子署名された電子記録が、以下の全項目を明示できること。

・署名者の氏名
・署名が行われた日時
・署名の意味(作成、確認、承認等)

4)電子署名と電子記録のリンクは、通常の方法では削除・コピーできないこと。
 例えば、電子署名を改ざんできないようにしておく。
 

5.署名の種類
署名方法には以下の3通りが考えられる。
(1)紙の記録に「手書き署名」

ラボにおいては以下の様な場合がある。
・元々が紙である記録に手書き署名する場合
・電子記録のプリントアウトに手書き署名する場合

✓署名された紙の記録が正の記録となる
✓署名した以降、電子記録は参考データとなる

(2)電子記録に「電子署名」

IDとパスワード、生体認証(バイオメトリクス)、タブレットへのタッチペン入力などにより電子記録に対し電子的に署名する場合である。

(3)電子記録に手書き署名

電子記録を電子的に署名できないときに、「手書き署名」を電子記録に紐付けて行う署名方法である。
たとえば:

・電子記録媒体の表面に手書き署名
(例:DVDやCDのラベル面に手書き署名)
・署名台帳に電子記録のファイル名/パスを記入し、手書き署名
(例:デジタルカメラ画像ファイルを台帳上で手書き署名)
・電子記録を特定できるページのプリントアウトに手書き署名
(例:分析計プリントアウトの特定ページに手書き署名することにより、分析計の電子記録に署名)

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執筆者について

望月 清

経歴 合同会社エクスプロ・アソシエイツ代表。
1973年山武ハネウエル株式会社(現アズビル)入社。分散型制御システム(DCS)を米国ハネウエル社と分担開発。2002年よりPart 11およびコンピュータ化システムバリデーションのコンサルテーションを大手製薬会社にご提供。2009年より微生物迅速測定装置の啓蒙普及に従事。2014年5月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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