ドマさんの徒然なるままに【第75話】 有意義なGMPPトピックスの読み方

第75話:有意義なGMPPトピックスの読み方

新年あけましておめでとうございます。「ドマさんの徒然なるままに」、今年もご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。

さて、このGMP Platformサイト内には「ニューストピックス」という新着情報を掲載しているコーナーがあります。このコーナーの情報は、筆者の師匠にあたる古田土真一先生が原稿を書いて、(株) CM Plus社の担当者によりサイトに掲載されています。

基本的にはGMPを中心としたヒト用医薬品の品質関係情報ですが、後述のように多種多様な情報が掲載されます。このニューストピックスの意図や情報の種類などをお伝えすれば、より効率的かつ効果的に読めるであろうし、自分の仕事に活用し易くなるのではないかとのことで、2025年最初の話として“お年玉”はどうか、という先生の提案から本話に至りました。

それでは、先生ご自身が執筆した原稿を、以下にそのまま紹介します。

----------------------以下、古田土先生の執筆です----------------------

古田土です。このGMP Platformトピックス(以下、「GMPPトピックス」)が、単なる情報源としてだけでなく、少しでも読者の皆様自身が活用しうるように、私の意図・目的といった背景とともに有意義な読み方をお伝えします。

1.    GMPPトピックスの意図と目的
基本的には、ヒト用医薬品の規制についての最新情報(適用範囲については後述)をいち早くお伝えすることが第一目的です。ただ、あくまで速報性を重視しており、その内容や詳細については、読者ご自身が当該通知やガイドラインなどお読みいただくことを前提としています。そのため、GMPPトピックス自体には、URLとしてのリンクは張っていますが、解説等はしていません。要旨や概略、ときに補足説明などを付記することもありますが、それは、タイトルだけでは意味が分かりにくい場合や新規概念・施策などに限定しています。
そんなことから分かると思いますが、「こんな通知が発出されていますよ!」といった“お知らせ”的な意味合いでしかなく、内容については読者ご自身で読んでいただくことになります。それを勘違いなされて、このトピックスだけで分かったつもりで終わらせてしまうと、大変失礼ながら、いつまで経っても「上っ面のGMP知識(情報)」のままで終わることになります。お気をつけください*1

2.    GMPPトピックス掲載のタイミング
日本は極東というロケーションから時差が有利に働くこともあって、欧米情報についてもかなり早く掲載されます。すべてが当日という訳には行きませんが、欧米情報についてもほぼ翌日までには掲載されています。
ただ、読者の多くは、毎週火曜日に発行されるメルマガの「ニューストピックス」として前週のGMPPトピックスのタイトルが一覧として示されるので、自身の興味のあるタイトルをクリックして読むものと推察します。ただ、この場合、この一覧は初出掲載日での一覧となります。そのため、実際のトピックそのものを開かないと、後述の追記更新の有無は分かりませんので、その点はご考慮ください。

3.    情報の範囲
①    種類
冒頭に記されたように、メインは、GMPを中心としたヒト用医薬品の品質関係情報ですが、再生医療等製品、体外診断用医薬品(海外で言う体外診断用医療機器)、医療機器、動物用医薬品、サプリメントを含む食品、化粧品などの情報についても、私の判断(個人的な好み)で必要に応じて掲載していただいています。
ただ、ヒト用医薬品だからと言って、すべてをカバーしている訳ではありません。あくまで筆者の個人的感覚でのチョイスです。自分で調査することのアシストだと割り切ってお読みいただきたいと思います。

②    規制当局・保健機関等
規制当局としては、オーストラリアTGA、日本(厚生労働省・PMDA)*2、EMA、英国MHRA、米国FDAです。その他の規制当局については海外薬業誌による掲載情報をピックアップすることもありますが、そのほとんどはアジア圏の規制当局情報で、アフリカと中南米関係情報については、かなり稀です。

率直に言って、日本の規制情報については、PRASE-NET*3の会員会社の方であれば、無料のメルマガ配信サービスによる情報収集のほうが早いと思います。私は、会社勤めをしておらず、日薬連傘下の薬業協会に入っていないため、公開ウェブサイトに掲載されない限り、本邦の情報を入手する術はありません*4。そもそも、医薬品の専業企業であれば、日本の薬業誌も購読されているでしょうし、私が本邦の規制情報について速報的 and/or 詳細にお伝えする必要も無いと割り切っています。

その他、国際的保健機関等については、WHO、ICH、PIC/Sの情報をお伝えしています。

③    業界誌
海外薬業誌からのピックアップについては、メインは、RAPS(Regulatory Focus)、ECA(Europea Compliance Academy)*5、GMP Verlag、Pharmaceutical OnlineおよびMED DEVICE ONLINEです。その他の薬業誌からの場合もありますが、ほとんどはこれら5誌からの内容です。

4.    GMPPトピックスの読み方(使い方)
①    タイトル冒頭の【参考】などの付記

各トピックの冒頭に【参考】【速報】【重要】【注意】といったものを付記することがあります。これらは、通常の何も付記していないトピックスよりも、その度合いを強調する意味合いで付けています。付記はあくまで私の個人的感覚での分類にすぎませんが、当該トピックが自社(自身)に関係する内容であれば、より心して読んだほうが宜しいというサジェスションでもあります。

ちなみに、裏話となりますが、上記の掲載タイトル冒頭の付記とは別に、私が担当者への送信メール(トピックス原稿です)のSubject欄には、通常【ご参考】を付記しています。掲載トピックスのタイトル冒頭に付記が無い場合は、これに相当します。また、送信Subjectに【参考】を付しているものの、掲載タイトルには何も付けないという場合もあります。この識別は、個人的には【参考】レベルだが、GMPPトピックスとしての影響はそこまで行かないと判断したものです。このSubject欄の区別基準は、後日に関連の通知等の発出や何らかの影響がある可能性が高いと判断したものについて、私が原稿メールを整理する際に(以前の関連トピックス原稿の引用など)ソートしてピックアップし易いようにしているだけです。長年やっていると、色々と作業し易い工夫を考えるものです*6

②    トピック本文内の【MM/DD付追記更新】
GMPPトピックス本文内に、例えば【12/12付追記更新】と付記しているものがあります。これは文字通り、その日に追記更新をしたという意味で、トピックタイトルの頭には《更新》という付記が施されます。
また、これが付記されているトピックスの内容とは別に、上段に担当者のほうで、以下のような形で追記更新であることが示されています。以下がその例です。
  ※初出掲載 (2024.09.16)
  ※追記更新 (2024.10.30)(2024.12.04) 
読者の立場としたら、このような追記更新がなされたということは、以下のような意味があると理解したほうが良いでしょう。
  ・追加の情報があった。
  ・他誌でも記事に取り上げられているほど興味深い重要な情報である。
他誌がニュースとして取り上げるということは、多くの場合、それだけ医薬品業界への影響が大きいと解釈して良いと思います。

これまた余談ですが、年明け直後の3週間程度は【2025年MM/DD付追記更新】として西暦も記しています。理由は、(ほぼ前年とはなりますが)以前のトピックスとの区別を明確にし、誤解を回避するためです。また年の違う過去トピックスの引用が入る場合は、西暦込みで明確化しています。自分で言うのも何ですが、結構親切でしょ。

③    掲載の順番:追記更新と新規
基本的には、24時間(1日)ごとの日替わりです。同日内においては、追記更新トピックスが新規トピックスに優先されて掲載されます。さらに言えば、追記掲載でも初出掲載の古いトピックほど先に掲載されます。そのため、前項②に記したように、追記更新の多いもののほうが、通常は(初出としては)古くなることで、同一日の掲載の中では目立ちますので、より注意できるようになっています。
《注》同日内での追記更新が発生した場合は、トピックタイトルに《更新》が施されますが、掲載順番は初出扱いとなります。
 

④    掲載の順番:リージョン(三極・その他エリア)の区別
日本、欧州、米国といったリージョンごとには必ずしも掲載していません。掲載は私の担当者への送信順に掲載されているだけです。私の送信順番は、新規トピックスについては一応重要度の高いものから送信していますので、掲載もその順番にはなりますが、あくまで私の好みによるチョイスです。重要度が大差ない場合は、読者がパッと見で分かり易いように同一リージョンとしてくくって送信することが多く、その一塊で掲載されます。これでも一応気を遣っているつもりですが、重要度の判断や担当者への送信順番はあくまで私の好みですので、その点は悪しからずご了承ください。

5.    留意点
以下、繰り返しの点もありますが、読者の皆様の留意点です。
・あくまで新着情報のお知らせであり、内容は読者自身が読むことが前提です。
・不特定多数の読者が対象であるため、範囲は多岐にわたりますが、逆に必ずしも読者の必要な情報が掲載されているとは限りませんことをご承知おきください。
・あくまで私の好みによるチョイスであり、読者からすれば、漏れや抜けもあります。
・基本的に、特定の品目や特定の企業については取り上げません。理由は、変に宣伝と解釈されたくないこと、逆に誹謗中傷と解釈されたくないことがあります。ただ、国内情報として、影響が大きいと判断した回収情報や行政処分としてプレスリリースされた場合は例外的に取り上げる場合もあります。率直に申し上げますと、これらの場合は、本邦薬業界への影響が大きく、今後何らかの規制対象になる可能性が高いという私の判断からです。
・米国FDAによるWarning LettersやEMAによるEudraGMDP Database関係については、同様原因による複数製造所についてのニュース記事や異常とも言えるGMP違反の場合に限定しています。理由としては、査察での警告文書を発行された製造所から製品(原薬・製剤)を輸入している国内企業があるかもしれず、間接的な誹謗中傷と解釈される可能性が否定できないからです。要は、私個人の問題ではなく、製薬企業を顧客に持つCM Plus社への影響の有無を考量した上で、GMPPトピックスとして掲載しても大丈夫か否か判断しているのが実情です。こういう点が、判断基準が不明なSNS情報との違いとも言えます。このGMPPトピックス、何だかんだ言って、その原稿を書いて掲載していただいている身としては、その内容についての責任があると自覚しているつもりです。
・個々の単発情報としてではなく、関連トピックスとして経時的な読み方をすれば、法規制の流れ(動向の推移)が読み取れるようになるので、推奨します。慣れてくれば、ある程度、次なるガイドライン等の発出が何となく読み取れるようになります。この流れを経時的に読み解くことを、特にQA担当者にお勧めします(ある意味では、求められる要素だと思っています)。
・何度も言いますが、迅速性を第一優先として掲載していただいております。そんなこともあって、送信原稿の誤字・脱字も多数あります。内容に関わる場合は修正していただいておりますが、内容に影響しないと判断したものについては、不備を承知でそのまま掲載しています。読者の皆様にあっても、その点はご理解いただきたく存じます。
 

6.    読者へのお願い
GMPPトピックス読者の皆様には深く感謝します。一方で、本GMPPトピックスへの私の気持ちも察していただければ幸いです。情報の存在(発出)を提供することと、内容を理解することとは別の話です。本来ならば読者ご自身でネット検索し、各規制当局等によるガイドラインの新規あるいは改訂発出を調査し、熟読して理解し、次なる要件等への対応を無駄なく進めることが求められているのです。GMPPトピックスの存在意義は、そういう読者の機械的とも言えるネット検索の時間をちょっとでも省き、内容の読解・理解に力を注いで貰いたいという思いから来ています。

現在では、単なるネット検索ではなく、生成AIを用いて、自身の知りたい事項の回答とも言える参考情報を取得することも可能となりました。ただ、その真偽の程度の判断、さらにはその参考情報を基に実際にどうするかの判断は、あくまで読者自身にあると思っています。

AIがまだ一般的とは言えない頃に、何名かの方から「GMPPトピックスのような情報収集を効率的に行う方法はありますか?」と質問を受けたことがあります。私の答えは、「そんな事務的なシステムを考えるよりも、得られた情報を如何に活用するかを考えたほうが得策ですよ。」でした。それは現在でも変わっておりません。率直に申し上げますが、それは“GMP”でも同じです。GMPや関連通知等の情報収集で知識を付けることよりも、取得した情報から何をすべきか、その活用方法を考えることにエネルギーを注ぐべきだというのが私の考えです。

くどいようで申し訳ありませんが、早い情報入手は、それだけ早く対応が図れるというのも事実です。取得した情報をどう活用するか or これからどうなるかを予測してどう対応準備すべきか、のための時間的余裕を持たせられるということです*7。要は、読者の皆様からすれば、タイパを上げるためということです。事務的な処理は私がやれば、それで良い。あくまで、掲載された情報の中から、自分・自社に必要なものをチョイスし、どのように使うか考えましょう、ということです。

一日二日を急ぐ必要はありませんが、心構えとして“時間”というファクターを意識しておくことは、品質関係者にとっても重要なファクターだと思っています。法規制の一部改正等に伴うSOPの改訂や変更を実務に活かせるようになるまでには、教育訓練の実施だけでは済まず、現実には相当の時間を要しますよね。少なくとも、時間の重要性という意識を養っておくことは、逸脱・苦情・回収といった作業においては、かなり役立ちます。

前述したように、読者の多くは、毎日GMPPトピックスをチェックしていると言うよりも、毎火曜日に配信されるメルマガでの一覧から自身の業務に関係すると思われるトピックスをクリックして読んでいるものと推察します。このGMPPトピックスの活用方法には何の制限も決まりもありません。自分に一番あった形で活用していただければ、それで十分です。むしろ、読んでいただき、活用していただけているのであれば、執筆者としてこんな幸せなことはありません。


【謝辞】
GMPPトピックスといった、アーティクルとは全く異なる形での掲載を引き受けてくださった(株)CM Plus および担当者の方々に、この場を借りて深く感謝いたします。

----------------------ここまでが古田土先生の執筆です----------------------

読者の皆様、ちょっとは役に立った(今後の参考に活かせる)でしょうか。ちなみに、このGMPPトピックス、2015年6月26日付のトピックが最初であり、2024年12月27日時点で13100点を超えていますが、今年2025年で10周年を迎えます。


では、また。See you next time on the WEB.



【徒然後記】
同級生のMちゃん
第二次成長期、第二次性徴期とも言うが、所謂子供から大人の身体に代わる時期についての同級生の女子の話である。
それは高校2年の三学期の土曜日の午後のこと、ちょうど本話が掲載されている頃であった。隣の県庁所在地へ行くためのバスに乗車。二つ隣のバス停で滅茶苦茶綺麗な女子高生が乗車。でも、なんとなく見覚えがある。ただ、ジーッと見るのも恥ずかしいし、失礼かと思い、何度もチラ見する。どうみても、同級生のMちゃん。彼女、小学4年から中学1年までの4年間は同じクラス。その当時から可愛い子であり成績も優秀で、私がクラス委員長、彼女が副委員長という時が多く、周囲からは「あいつらできてる」なんてからかわれたこともあった(クラス委員長・副委員長という立場から、ホームルームや学校行事の準備のために居残りさせられることが多かったというのが実情です)。ただ、中学2年から別のクラス。さらに当該県の県立高校は共学ではないため、別々の高校ということもあり、バス内で見かけたのは、4年ぶりになる。ちょうど第二次成長期の最中にブランクがあったことになる。
女子の第二次成長期は凄い、いや凄すぎる。心の中で、Mちゃん、なんて美人に変貌(表現が失礼かな?)したの!? 元々が、ピアノ塾の娘さん、超お嬢様であったが、バスで見かけた彼女は、私の目にはシンデレラ! 傍から見るよりも実はシャイな筆者、声などかけようもない。彼女も私が誰だか分かったようだったが、昭和40年代という時代の中、彼女のほうから声などかけてくるはずもない。ガールフレンドでもなんでもないので、以後連絡することなどもなければ、私が他県の大学に進学したため見かけたこともない。
ただ思うのは、子供から大人への成長は、驚愕の変貌を遂げることもあるということを知った。彼女、同級生ということは、同じ歳。現在どうなっているのか知る由もないが、きっと綺麗で素敵なお婆ちゃんになっているんだろーなー。

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*1:(天の声)お前のせいじゃろ!
(筆者)なんでだよ。私にそこまでの責任はありません。
(天の声)しっかり勉強できるようにするのが、お前の役目じゃろーに。いい加減な奴じゃわ。
(筆者)あんた、神様じゃなく、実態はカスハラキングなんじゃないか? 
(天の声)久々に天罰― ― ―っ!
(筆者)ギャー!
 

*2:厚生労働省からの通知や事務連絡については各都道府県衛生主管部(局)宛てに発出されることから、通知等を迅速にウェブ掲載してくれている地方庁からチョイスしてGMPPトピックスにすることはあります。

*3:日本製薬団体連合会(日薬連)、関西医薬品協会(関薬協)、東京医薬品工業協会(東薬工)、日本製薬工業協会(製薬協)による共同利用のインターネットおよびコンピュータシステムです。

*4:徳島県製薬協会が、かなり迅速にPRAISE -NET情報をウェブに掲載してくれるため、そこからピックアップすることは多いです。正直、感謝、感謝です。

*5:ECAによるGMP News(GMPPトピックス内ではECA/GMP Newsと記しています)は、彼らが平然と掲載日変更をします。最悪の場合、過去掲載のニュースを後日に再掲載するといったこともあります。そのため、GMPPトピックス内に記している掲載日はあてにしないほうが良いでしょう(通常はECA初掲載日にGMPPトピックスとして取り上げているので、その日付が記されています)。

*6:GMPの世界の指図記録書を含むSOP、承認書記載事項との整合は当然のこととして、一方で現場の作業に基づき、作業し易い工夫を踏まえての微調整による改訂が必ず発生するはずです。それが本来の“手順書”であり、“エラー防止”に繋がるはずです。オーディットで、制改訂の履歴欄に大義名分のような改訂理由が記されたSOPをよく見かけますが、率直に申し上げて、「なんか怪しい」としか思えないんですよね。お気をつけください。

*7:(天の声)嘘じゃ! 単に“せっかち”なだけじゃろ。
(筆者)「嘘も方便」という諺を知らないんか?
(天の声)やっぱり嘘なんじゃな!?
(筆者)噓じゃない、正直な本音の理由だわい!
(天の声)うっそつき、うっそつき!
(筆者)畜生、腹立つなー。

 

 

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