知的財産の基本から知財ミックスまで【第30回】

2024/12/20 その他

商標の登録要件―類否について紹介をする。

商標の登録要件―類否(図案化された文字の類否について)

 こんにちは、弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
前回に引き続き、商標の類否判断に関する内容となりますが、とりわけ図案化された文字の類否に関する注意点について説明します。

 先日、外国の商標出願人から、その出願に関する拒絶理由通知に対して応答手続きをして欲しいという依頼がありました。
 その商標は、欧文字3文字を非常に図案化(デザイン化)した商標でしたが、特許庁の審査では、図形ではなく欧文字(3文字)と認定され、図案化の元となった欧文字のみで構成されていた先行商標と類似するという理由で拒絶理由通知が発せられたものでした。

 拒絶理由通知に応答するには、審査官の認定に対して反論する意見書を提出する必要があり、反論材料として、過去の同じような審決例を調べました。それが興味深い内容で類否判断を理解する助けにもなると思いましたのでご紹介します。

<図案化された商標に関する審決例>

(1)不服2022-10305

 上記商標は、通常の文字で構成された先行商標「CORE」及び「コア」と類似すると判断され拒絶査定となりました。上記商標の図案化された「CORE」の部分、特に左から2番目の要素について、特許庁は欧文字「O」と認定し、上記商標から「コア」という称呼(商標の発音)や「芯」という観念(商標の意味)が出るため、先行商標「CORE」や「コア」と類似すると判断されました。

 出願人は拒絶査定不服審判を請求したところ、出願人の主張が認められて登録審決となっています。

 

 

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執筆者について

鈴木 徳子

経歴

ブランシェ国際知的財産事務所 共同代表弁理士。
代々医師の家系に生まれ医学書に囲まれた生活を送ったが、医師にはならずに文系の道を進み知的財産の専門家になった。一橋大学経済学部卒業。現ウォルト・ディズニー・ジャパンでキャラクターのブランディングを担当し、商品化権(著作権や商標権など)に基づくライセンスビジネスに携わる。ディズニー時代に初めて、「知的財産権」という言葉に出合い、その重要性を実感し弁理士になる。その後、外国知的財産サービス会社で大手日本企業(医薬品、化粧品、素材系メーカーなど)の全世界120か国における商標権取得、企業合併に伴う権利移転手続や侵害対応などに携わる。2015年3月事務所開設。大学や各種セミナーで講師も務める。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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