医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第51回】
国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「国内製薬企業の国際化多様化と災害リスクマネジメント 」
1.製薬企業のあるべき姿
製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。日本国内外にて製薬工場で働く日本人も外国人も夫々の工場で災害に直面した場合、先ずは生命を守ること、怪我などを最小限に出来るよう平常時から自然災害や人的災害についてリスクマネジメントを行い、リスク低減を行う企業内活動を継続的に行っていることが重要課題となる。夫々の人々が働いている製薬工場のロケーションが国内であろうが国外であろうが世界中で私達は行政や関係団体が発行しているハザードマップなどが入手可能でリスクアセスメントの情報の一つとして有効であると筆者は考えています。更に災害リスクを大きくする特異な要因が事業所毎に潜んでいるものと考えます。企業のトップマネジメントや工場の工場長さんは必要十分な災害リスク関連情報をくまなく収集し分析して災害リスクアセスメントを行い、リスクの大きい順に優先順位付けをして後、リスク低減対策を実施する。このマネジメントシステムを廻し、継続してゆく事が重要と筆者は考えます。又、特に重要なのはこれらのプログラムはサプライチェーン全体で行う事が有効な結果を得ることにつながります。
<災害リスクアセスメントをする為に情報収集すべき事例>
医薬品工場、化学物質製造工場、営業所ビル、オフイスビル、サーバーステーションその他により情報の中身が異なる。
1) ハザードマップで得られる情報
地震(震度のみならずGal,マグネチュード等の単位で地震断層やプレートの位置構造)
津波(リスクの大きさmやリスク有無)・・地域毎避難場所等
洪水(洪水リスクと深さm)
液状化(発生リスクとエリア情報)
その他、なだれ・噴火・台風など
2) 建物設計図や竣工図で得られる情報
- 建築構造(鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造・木造など)
- 建物地震対策設計(免震・制震・耐震、新耐震法の適合など)
- 建物階層
- 消防用設備、建築基準法設備(スプリンクラーの有無・消火栓ポンプ設置場所・公共消火栓位置・消防計画書・消防設備点検記録(不具合事項の対策実施の有無)・消火器の種類
- 避難設備(非常用エレベーター・避難はしご(オリロー)・非常用階段(両側手すり有無)
3) 周辺地図から得られる情報
- 1級河川、海からの距離(200m、2km、10km)
- 用水や小川からの距離
- 自衛隊、米軍基地からの距離
- その他、大使館・飛行場・規模の大きな駅からの距離
<災害リスク評価項目>
1) 自然災害
地震・洪水・津波・竜巻・液状化・火災・噴火・なだれ、その他
2) 人的災害
サイバーテロ・盗難・誘拐・爆破・銃撃・放火・その他
<災害リスク評価Scaleと評価基準・評価結果順位事例>
1)評価基準事例
2)災害毎 リスク評価Scale事例
3)事業所単位の災害リスク総合評価結果、優先順位設定事例
国内外の製薬工場では各事業所毎に上記などの充分な情報を集め、分析のうえリスクアセスメントを行い、優先順位を付けてから優先順位の高いリスク項目についてリスク低減対策を行う事が重要です。又、製薬工場という社会的責任を果たす為、医薬品の品目毎優先製品のTOP10を予め決めてその優先製品のリスクを許容出来るレベルまで下げておくことで有事の際に早期復旧図れるよう平常時よりリスクマネジメントそしてBCM(Business Continuity Management)を実施しておくことが求められています。最も大切なのはサプライチェーンを巻き込んで取り組んでいることが大切です。
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