製薬会社MRとは一体何か?【第12回】

MRを辞めて衝撃だったこと7選 ― 他の業界との違い ―

GMP Platformに12回目の記載となります。
MR→コントラクトMRからヘルステック企業を経て起業し、現在はYou Tubeチャンネル ( にしまファーマ ) を運営しながら、医療系人材紹介会社を経営しております。

今回は前述の経歴を持つ私自身が製薬業界の外に飛び出してみて、体感したMRとMRの外の世界の「ギャップ」についていくつかご紹介したいと思います。

前提、私の主観も多分に含まれている点や転職前後の組織や業界特性に拠る所もありますが、気楽に読んで頂ければと思います。

①価格交渉の世界がシビア
MRから別の業界に飛び出してみて、初めて「価格」というものにリアルに触れました。
他の業界の営業職の方からはMRは価格交渉をしない営業形態であることを伝えると、「え?どういうこと?」と首を傾げられたこともありました。
MRは業務上、基本的に価格に触れることがなく、見積や受発注のプロセスはMS(医薬品卸業者)が巻き取ってくれる形をとっています。

これにはちゃんと理由があり、医薬品は生命関連製品なのだから、処方・購買の意思決定において医薬品企業担当者から「価格」という宣伝広告は倫理的にだめだよね という考えのもと、国からのお達し(法的規制)が出ています。

私はヘルステックベンチャーに転職した際に、初めて価格交渉・クロージング(案件の受失注)という購買プロセスの営業を経験しました。
やってみるとなかなか難しいもので、「~万円までじゃないと私の決裁権では下りない」「支払い方法~はないか」などなど、お客様の会社やお立場によっても本当に様々。

難しさを感じながらも同じ値引き内容なのに、出し方や使い方でお客様の反応が全く異なる。武器として使う同僚の商談は面白かったです。

②他社との繋がりがビジネスライク
特に地方MRの方には馴染みの深い他社MRとやけに仲良くなります。今では他企業の社員と仲良くする機会が減りました。
他社と絡むことがあってもそれは「協業」「会食」など、ビジネス軸のシーンぐらいしかありません。
病院やクリニックのイベント事、エリアのランチで遭遇してそのまま昼休憩する…MRってそのようなカジュアルな繋がりつくる機会が凄く多かったんだなあと改めて感じました。

③営業現場は自由。コンプラはどこへ
MRのコンプライアンス規制についてはよく言われることですが、身をもって体感しました。
MRはプロモーションや営業活動において「グラフの目盛り」や「エビデンスレベル」、ギチギチに固められた規制の中でできることを必死に探して付加価値を追求しています。
他業界に動いてみて、「営業活動がここまで自由にできるのか」、というのは衝撃でした。例えば提案書一つにしてもそうで、MRのプレゼン資料は全社統一された標準資料のみを全てのお客様に使いまわしますが、転職先の業界ではタイトルから締めスライドまで、全てオリジナルで作っていきます。
ある程度雛形になるようなものは会社や先輩が持っているのでそちらも拝借しながらでしたが、当初は自分で提案内容を考えたり資料作りなどは不慣れで苦戦してましたね。

④面談が長い
MRの時はアポが取れても15分〜30分、基本的に5~10分しかアポイントがもらえません。
一方ヘルステックにいた時は基本60分、ショートMTGでも30分がベースでした。
MR時のスタイルは立ち話がメインで、個室で向かい合って面談するのは落ち着かないものでしたが、むしろ営業活動で立ち話をする機会はなくなりました。
入社時に「一商談60分です」と聞いたとき「そんな長くて話すことあるのか?」と不安になりましたが…今では60分の商談がスタンダードになっています。
ここは営業スタイルが新規開拓かルート営業かにも拠る点ですね。
新規開拓の場合(特に反響営業)はお互いに「商いをするしない」と明確に場の着地点があるので、同じ熱量で情報交換するとあっという間に時間が過ぎます。
 

 

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