【第42回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、“変革推進、品質は儲かる”

2023/10/06 品質システム

「専門知識と働くスキル」 X 「変革推進、人を動かすスキル」について。

「専門知識と働くスキル」 X 「変革推進、人を動かすスキル」

 第34回より、「変革推進、品質は儲かる」とのテーマで、OPEX実行に関する紹介をしています。これは2022年秋に開催したGMP Platformセミナーで講演した内容で、「一歩進んだ業務改善 - 納得感あるスタート〜活動の仕組みづくり」をベースにしています。変革推進、プロジェクトをいかにうまく運営するかがテーマで、日常業務においても活用できる内容です。
 私は医療機器と医薬品会社に30年以上勤務しており、業界業務の専門知識と働き方を学びました。みなさんも所属する業界業務のエキスパートで、プロフェッショナルとして活躍されていると思います。
 僭越ながら、みなさんの「業界業務の専門知識、専門スキル」に、「変革推進、人を動かすスキル」が加わったらどうでしょうか。プロフェッショナルスキルにさらに磨きがかかり、どこの企業組織でも手放せない貴重な人財になります。 「業界業務の専門知識、専門スキル」 X 「変革推進、人を動かすスキル」で、プロをさらにレベルアップという意味です。専門スキルとは、自分が所属する企業組織で働くスキルで、社会人のベーシックスキルです。人を動かすスキルとは、自分と周囲、さらのその周りへと影響力を拡大する社会人としてのアドバンススキルというイメージです。重なる部分はあります。

オペレーショナルエクセレンス実行 = 「業界業務の専門知識、専門スキル」 X 「変革推進、人を動かすスキル」

 みなさんは既に、「業界業務の専門知識、専門スキル」はお持ちです。OPEX実行の勘どころでは、後者の「変革推進、人を動かすスキル」をメインに紹介しています。OPEXを広義の意味でとらえ、OPEXを実現するには、実は業界業務の「専門知識、専門スキル」と、それを活かす「変革推進、人を動かすスキル」の組み合わせが必要なのです。
 OPEX実行の勘どころは、みなさんのプロとしての腕に磨きをかけるもう一つのスキル、その“勘どころ”との意味合いもあります。

【私の出会い、シックスシグマとブラックベルト】
 学生を卒業して社会人としてスタートしたとき、私たちは夢や目標を持ち社会に出ました。採用面接では、何故この会社組織を希望するのか、自分がやりたいことや志を熱く語ったのではないでしょうか。何か新しいこと、わくわくすることにチャレンジしてみたいと会社組織に入社しました。入社数年でその夢や目標が消えたとは言いませんが、日々の業務に忙殺されるうちに初心を忘れてしまうことがあります。社会人として、常に夢や目標を持ち、仕事に打ち込める人生は素晴らしいです。そしてその夢を実現できた人は、さらに次の夢に向かい前進していることでしょう。皆さんはいかがですか。

 少し個人的な経験を紹介します。私はヘルスケア業界とグローバルで活躍することを希望し、新卒で某医療機器会社に入社しました。海外赴任の機会はありませんでしたが、アジア・アメリカ・ヨーロッパのメンバーと一緒に仕事をすることができました。異動先の事業会社が売却されたり、突然の解雇を言い渡されたりと、振り返るとジェットコースターのような会社勤めでした。七転び八起きでなんとかここまできました。妻と家族には心から感謝です。
 ヘルスケア業界とグローバルで活躍という目標は、かなり達成できたと自負しています。入社10年目くらいのときに、業務変革、シックスシグマ・ブラックベルトに任命されました。ブラックベルトとは、シックスシグマを活用しプロジェクトを実行するリーダーです。扱うプロジェクト大きさにより、ブラックベルト(上級リーダー)、グリーンベルト(リーダー)などの名称があります。通常業務に変革プロジェクト業務が追加され苦労しましたが、やり遂げました。これはあとで私にとって大きな財産となりました。シックスシグマ手法を学びながら、先輩マスターブラックベルトに指導してもらい、社内や取引先顧客といろいろな業務改善に取り組みました。そしてこれらのプロジェクトがうまくいくと、シックスシグマが面白くなりました。特に顧客からありがとうと賞賛されるとモチベーションが上がります。もっとやってみようとなり、ブラックベルトからマスターブラックベルトになり、今につながっています。
 私は1990年代後半シックスシグマの日本導入時代にシックスシグマ手法、その後リーン&シックスシグマからOPEXへの変遷を体験しました。そして、いくつかの企業組織でOPEXを実行支援するうちに、このプログラムは本当に企業組織の発展に役立つと確信しました。DXやAI活用が流行りとなっていますが、実行するのは企業組織の“人”です。ベースとなるオペレーションがあり、その上にDXやAIがある順番です。DXやAIだけが一人歩きすることはありません。DXやAIを導入する上でも、OPEXは人が運営するとても役立つプログラムです。

 次なる私の目標は、日本におけるOPEX認知度向上と、これを活かす組織づくりです。一人の力では限界があり、仲間とともに一般社団法人 日本オペレーショナルエクセレンス推進協会(仮称)の設立準備をしています。このOPEX推進協会の方向性が固まりましたら、皆さまにもお知らせいたします。

 

 

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執筆者について

井口 幸人

経歴

ライズマネジメント株式会社 代表取締役
オペレーショナルエクセレンス マスターブラックベルト
1986年にGE横河メディカルシステム入社、画像診断装置CT/MRIの営業技術、大学病院と共同研究、GEメディカル・アジアにてシックスシグマ・ブラックベルト(ビジネス変革のリーダー)の業務に従事。
2005年にコヴィディエンジャパン(医療機器)、OPEX(Operational Excellence)推進室長として、全社の変革プロジェクトを統括。その後、テバ製薬、ユーシービージャパンの生産部門でOPEX活動の責任者として従事。
2016年にライズマネジメント社を設立し、ビジネス変革のトレーニング、コンサルティングなどの活動を実施中。特にハンズオンでのプロジェクト実施、コーチングが得意です。   

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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