医薬品製造設備の洗浄バリデーション【第6回】

2013/09/09 施設・設備・エンジニアリング

Validationの一般要件と法規制
 洗浄バリデーションの基本コンセプトとして、「医薬品の有効性および安全性を確保するためには、承認された成分以外のものが含まれていないことが必須である。そのためには、製造環境からの異物を混入させないこと、および製造設備に付着した残留物を次に製造する品目に混入させないことが重要である。製造の残留物の次製造品目への混入は、全ての設備・機器を洗浄し、清浄化することにより防止できる。」
 
8. 感作性・生理活性の強い過敏症反応を示す物質、および洗浄剤の洗浄バリデーション
8.1 感作性・生理活性の強い過敏症反応を示す物質の洗浄バリデーション
 残留物が微量で過敏症反応を示す成分(ペニシリン系、セファロスポリン系、セフェム系抗生物質、および生理活性の強い成分(ホルモン剤、抗癌剤、微量で毒性を有する薬剤等)の場合、製造設備・機器洗浄は、次の基本方針に沿って基準より更に厳しい基準を設定する。
 
(1)β-ラクタム系抗生物質等の洗浄バリデーション基本方針
 WHO GMP11.20項、およびICH Q7 API GMP4.40項、4.41項、12.76項では、微量で有害な特殊な医薬品の製造については、製造設備の封じ込めとして専用化を要求している。
 例外として、特別の注意を払い、必要な洗浄バリデーションを行った場合に限り、同一設備内で一定期間を定めた切り替え生産を行うことが認められる。その際も検証された不活性化工程または確立された洗浄手順が、通常の製造時にも有効であることを保証することが必要であり、バリデーション後、適切な間隔でモニタリングを実施することが要求されている。
 同一カテゴリー(例えば、セファロスポリン系またはセフェム系抗生物質)に属するβ-ラクタム系抗生物質等間の設備共用では、残留許容限度値基準は先の「PICの勧告」を用いることが良い。一方、ペニシリンと他のβ-ラクタム系抗生物質とは設備共用してはならないので、個々の化合物毎による専用設備としての洗浄バリデーションとなる。
 

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執筆者について

高平 正行

経歴 エイドファーマ 代表
NPO-QAセンター 理事 事務局長
1979年塩野義製薬(株)入社。製薬プラントの立上げ、医薬品製造管理者、合成研究等の製造業務を経て、品質保証部へ転出。信頼性保証本部 品質保証部 次長として、GMP統括管理、GQP品質保証業務(出荷判定、逸脱・品質不良、変更管理、苦情・回収)、国内外にある自社製品関連170箇所製造所のGQP/GMP/QMS/CMCの信頼性保証、医薬品・診断薬・医療機器製造所のGQP/GMP/QMS適合性監査などを約10年間統括する。また、医薬品医療機器総合機構一変・軽微変更、製品管理業務、国内外の医薬品品質保証ガイドライン等のカスタマイズ化にも従事する。
2011年12月より(株)エースジャパン 取締役 製品戦略担当。医薬品の原薬、中間体を中心とした品質保証、製造・試験、製造販売管理全般にわたり経営の視点から携わる。
2016年6月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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