GMP管理とデータインテグリティ【第4回】

2017/07/10 品質システム

"1. 生データ
 データインテグリティを考えると、まず、生データの取り扱いだろう。医薬品の場合、開発研究とQC業務において、生データの取り扱いが多いと思う。生データについて、GMP事例集1)に記載がある。
[問]GMP20-5(文書等の管理)GMP20-4でいう「生データ」にはどのようなものが該当するか事例を示してほしい。
[答]設問の「生データ」とは、最終結果を得るために使用した元となるデータ及び最終結果を得るに至った過程を含む記録のことをいい、最終結果が正しく出されたことを検証することができるものであることが必要である。例えば、試験検査に係る生データとしては、次のものが挙げられる。
1. 測定機器からプリント機能により出力されるデータ
2. 記録計から出力されるチャート又は読み取った値を記録したもの
3. 測定機器に表示される値を書き取ったもの
4. 観察結果を書きとめたもの
5. チャートなどの波形データを電子的に記録したファイル
6. 写真
7. 上記のデータを使用し計算、換算等を行った際の過程を記録したもの等

 多くの分析装置は、コンピュータをもち、その結果をプリントアウトする。その結果は、データインテグリティとして問題ないか。真正性、見読性及び保存性が確保されているか、確認しているだろうか。秤量器のプリンターが感熱紙を使用していて、長期に保存すると、読み取りできなくなってしまうので、コピーをする場合、そのコピーの内容を確認する必要がある。写真では、プリントアウトすると、色調が変わったりしないか、データとしての写真が読み取れなくなることがないかの確認も必要となる。ただし、そのデータが正しい結果であることが確認されたもの、つまり、真正性が確保されていることは言うまでもないことである。


2. QC業務の関わる記録類
 QC業務に関わる記録は多くある。当然、データインテグリティが確保されていなければならない。ここで、GMP省令2を確認してみよう。
(品質管理)
第十一条 製造業者等は、品質部門に、手順書等に基づき、次に掲げる製品の品質管理に係る業務を計画的かつ適切に行わせなければならない。
一 製品等についてはロットごとに、資材については管理単位ごとに試験検査を行うの
  に必要な検体を採取するとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
二 採取した検体について、ロットごと又は管理単位ごとに試験検査(当該製造業者等
  の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において行う試験
  検査であって、当該利用につき支障がないと認められるものを含む。以下同じ。)
  を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
三 製品(医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する
  省令(平成十六年厚生労働省令第百三十六号GQP省令)第九条第二項の市場への出
  荷の可否の決定に供されるものに限る。第二十八条第一項において同じ。)につい
  て、ロットごとに所定の試験検査に必要な量の二倍以上の量を参考品として、製造
  された日から当該製品の有効期間又は使用の期限(以下単に「有効期間」という。)
  に一年(放射性医薬品に係る製品にあっては一月)を加算した期間適切な保管条件
  の下で保管すること。ただし、ロットを構成しない製品については、この限りでな
  い。
四 試験検査に関する設備及び器具を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成
  し、これを保管すること。また、試験検査に関する計器の校正を適切に行うととも
  に、その記録を作成し、これを保管すること。
五 第二号の試験検査の結果の判定を行い、その結果を製造部門に対して文書により報
  告すること。
六 その他品質管理のために必要な業務

 QC業務はサンプリングから試験検査だけでなく、その試験検査環境を維持するための設備機器の管理、試薬試液の管理、参考品、安定性モニタリングなど多岐にわたる。データ管理も分析装置におけるデータインテグリティから試験検査の生データ、試験検査結果として製造部門へ報告するデータ等、データインテグリティを確保しなければならない対象ばかりである。"

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執筆者について

中川原 愼也

経歴

GMPコンサルタント
1984年神奈川県庁に入庁し、1997年国立公衆衛生院(現在の国立保健医療科学院の前身)でGMP研修を受講後、薬務課及び小田原保健所等で医薬品等の製造販売業、製造業の許認可、審査、指導を主にGMP・GQPリーダー査察官として16年にわたり活躍した。その間、MRA(日・欧州共同体相互承認協定)の締結の際のEUの調査、2005年の製造販売承認制度の施行に携わり、PIC/S加盟にあたり、厚生労働省の委員等委嘱を受け、次の活動に参加した。
平成20、21年度 GMP/QMS調査・監視指導整合性検討会委員
平成21、22年度 厚生労働科学研究~GMP査察手法の国際整合性確保に関する研究
2012年に神奈川県庁を退職し、医薬品原薬輸入商社であるコーア商事株式会社で、品質保証部長として国内管理人としてのGQP取決め及び医薬品製造業としての GMP管理を統括した。2015年から株式会社ファーマプランニングにて、GxPコンサルタント業務に携わる。2017年高田製薬株式会社に入社、大宮工場の製造管理者、品質統括担当参事を経て、2021年より生産本部顧問に就任。同年より中間物商事株式会社品質保証部部長として勤務。
2021年11月より、共和薬品工業株式会社鳥取工場品質保証部長となる。
2022年4月からGMPコンサルタントとして独立したが、2023年2月硬膜動静脈瘻に疾病し、言語障害となった。退院後、自宅にてトレーニングし、完治。8月にネオクリティケア製薬株式会社品質保証部に入社、従来通り活動をしている。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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