タレントマネジメント【第3回】

2022/08/19 その他

衣笠 仁

今回は前回の続きで、タレントマネジメントの目的についてさらに解説します。

タレントマネジメントの目的_2

前回記事、“タレントマネジメントの目的_1”を多くの方に読んでいただき誠にありがとうございました。
今回は前回の続きとなります、

a.   タレントマネジメントの目的3点
  3. ITを活用した人材可視化と育成

に、ついて記していきます。
 

a.  タレントマネジメントの目的3点
  3. ITを活用した人材可視化と育成

それでは3つ目の目的、人材可視化と育成です。まず、なぜ育成だけではなく可視化が必要かを記していきます。

・可視化の目的
私たちの多くは子どもの頃からテストで自分の学力を測ったり、通信簿である程度の評価を受けてきました。進学受験では偏差値から自分の進学をある程度予想し、受験校を変えています。これらの経験を通じて私たちは自分の学力を把握し、他人と比べることで成長してきたと言えます(もちろん他人と比較なんかしてないって方もいるかもしれませんが)。そして私たちは多くの他人との比較を通じて自発や自律をできるようになり、社会に出ていきます。
ところがどうでしょう。会社に入った瞬間に他人と比較するものが極端に減ってしまいました。曖昧で根拠のない評価、年功で決められた古臭い給与制度、研修を受けても定性的なフィードバックばかりで参考にならない。
上記した内容、皆様の会社ではどうなっていますでしょうか?
少なくとも私は8割の企業が人材可視化ができていないと考えています。特に大企業ほど古臭い制度も相まって可視化に着手していない(できない)のではないでしょうか?これでは自分が社会の中でどれくらいのスキルを持っているのか?こなせるタスク量は多いのか?給与は妥当なのか?結果、比較できないまま歳を取っていくと成長していく機会やそもそも成長しなきゃいけないって気分も削がれていきます。モチベーションの低下ですね。つまり、社会に出たあとも他人と比較し自分に何が足りている足りていないを気づき、やる気を出してもらうことが可視化の目的と言えます。

・可視化すべき人的要素
それでは何を可視化すれば目的を達成できるかですが、まずは下図を御覧ください。

左上:個人データですが、個人属性はだいだいの会社がシステム化し持っていると思います。また評価や給与も同じです。持っていないと思われるのが、タスク/スキルの定義です。こちらポジション管理の項でも記しましたがそもそも定義がない方が多いと思われます。また、社内教育データやサーベイ(アンケートや調査)、アセスメントデータなども管理できている企業は少ないのではないかと思います。ではなぜこれらが管理されていなければいけないかですが、社員目線でいうと自分の過去と現在地の確認項目になるからです。先程までは他人との比較を多く記しましたが、過去の自分との比較が実は最も大切かもしれません。また管理目線でいうと将来の幹部候補の早期発見や教育(サクセッションプランニングと呼びます)、ローパフォーマーや退職予兆の早期対策などが挙げられます。このように個人のデータを少しでも活用することで多くのメリットがあると言えます。

右上:組織データ
主にコミュニケーション・コラボレーションデータです。現在多くの企業ではスケジュール管理がデータ化されていると思いますので、誰とどのくらいいたか?や、誰と多くコミュニケーションしているかを簡単に定量可することができます。これらの活用方法ですが一例として、次ページの図のような事例があります。
 

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執筆者について

衣笠 仁

経歴

事業会社にて人材育成プログラムの開発
コンサルティングファームにて、主にセールスイネーブルメントを担当
2020年より日本システム技術株式会社に在籍
https://miehr.jast.jp/  
ji.kinugasa@jast.co.jp

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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