GCP入門【第23回】

2021/11/05 臨床(GCP)

GCP入門の総括として。

前回のGCP入門【第22回】をもって、第1条から第59条までのGCP省令全条文の紹介を終えた。今回と次回の2回にわたって今までの補足と総括を行ってGCP入門を終了したい。

令和のGCP改正
 GCP省令は平成9年3月27日に公布され、その後ほぼ毎年のように改正されている。その改正の履歴はGCP入門【第4回】から【第6回】で紹介し、その時点においてGCP省令は平成29年10月26日、GCPガイダンスは令和元年7月5日の通知が最新版であった。その後もさらに改正され、令和3年(2021年)10月末の現時点でGCP省令は3回、ガイダンスは2回改正されている。すなわち令和になってGCP省令もガイダンスも共に3回改正されたのである。令和元年は5月から始まったので、2年半で3回ずつの改正ということであり、「ほぼ毎年のように改正され」という前述のとおりだ。令和元年7月のガイダンス改正については既に【第6回】で触れているので、これを除いたGCP省令の3回の改正とガイダンスの2回の改正について、改正の理由と内容を紹介しよう(図1)。

令和2年8月のGCP省令とガイダンスの改正
 令和元年(2019年)12月4日に公布された改正医薬品医療機器等法(令和元年法律第63号、改正薬機法)の施行時期は大きく3つの段階に分かれており、第1弾は令和2年9月1日、第2弾は令和3年8月1日、第3弾は令和4年12月1日となるようだ。
 令和2年8月31日にGCP省令とガイダンスが同日付で改正された。これは令和2年9月1日以降に治験計画届を提出する治験に適用されることから、改正薬機法第1弾に伴う改正である。旧ガイダンスからの主な改正点として8つ挙げられているが、この時のGCP省令とガイダンスの改正のポイントは何と言っても、新たなGCP用語「治験使用薬」であろう。GCP入門【第9回】をお読みいただければわかるように、「治験使用薬」とは被験薬並びに被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する薬物をいい、具体的には被験薬、対照薬、併用薬、レスキュー薬、前投与薬等が該当すると例示されている。ただし、治験計画届書及び治験実施計画書において規定された薬物がこれに適用される。被験薬以外のこれらの治験使用薬で発生した副作用についても、治験依頼者が厚生労働大臣に報告するように制度を整備したというのがGCP省令及びガイダンス改正の趣旨である。
 

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執筆者について

大場 誠一

経歴

株式会社エスアールディ 信頼性保証室 参与
旧GCP施行当時から国内の製薬企業で試験監査室長としてGCPとGLPの監査を担当。その後の欧州系製薬企業では信頼性保証室長としてGCPとGLPの監査の他、GMPとGPMSPの監査に携わる。そして後の米系CRO(開発業務受託機関)ではQA DirectorとしてGCP監査の責任者。現在は国内CROでGCPと臨床研究の監査、さらにGCP教育やSOPライティングの受託業務を専門としている。またGCPに関連した執筆や多くのセミナーでの講演活動、さらにDVDやe-ラーニングを用いたGCP教育に携わるなど、30年以上にわたってGCPに深く関わり続けている。

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