中国等海外原薬の品質確保と調達リスク回避の考え方【第6回】

2018/06/08 原薬

6. 品質監査の考え方・進め方と留意事項
6.1 製造所監査のフローと留意事項
監査の実施にあたっては概ね下記のような事項に留意し進めるとよいと思われます。
  ①監査の申入れと伝えるべき事項
  ②監査計画の立案と事前準備
  ③プラントツアーの重要性と視点
  ④文書及び記録の確認の要点
  ⑤チェックリストの活用とメリハリのある監査
  ⑥効果的な監査手法と幹部職員の資質の確認
  ⑦カントリーリスクへの留意
  ⑧指摘事項の報告と信頼関係の構築
  ⑨フォローアップと継続的なコミュニケーション
  ⑩中国の原薬製造所監査と使用言語
  ⑪通訳の重要性と資質
  ⑫中国語の物質名の確認
 
6.2 監査の申し入れと伝えるべき事項
海外製造所の品質監査を行う場合も国内製造所の場合と同様に、先ず、製造所に監査の申し入れを行う必要があります。これに関しては、多くの場合、当該原薬の紹介を受けた商社にアレンジをお願いすることになりますが、事前にこちらの希望日程、訪問メンバー等に加え、訪問日前後の行動予定などについても、差支えのない範囲で商社の方に連絡しておくと、調整がより円滑に進みます。日程の調整がつけば、目的等と合わせて正式文書として提出することになります。
監査申し入れを行う段階では、製造所の周辺情報の収集・評価を終え、監査目的に応じて監査概要・要点などの整理を行う必要があります。
ちなみに、監査には大きく、当該原薬の採用前の監査、すでに使用している原薬に関する定期監査および品質問題が発生した際に行う監査(For Cause Inspection)の3つのケースがありますが、監査の準備はこれら監査の目的に応じて、要件を整理し行うことになります。
ちなみに、化粧品原料に関してはGQP省令において製造所監査が義務付けられていませんが、機能性を期待する重要な代替原料のような場合は、原薬と類似した手順を踏むことが望まれます。
 

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執筆者について

浅井 俊一

経歴 1974年ロート製薬入社。品質管理・薬事・品質保証の各業務にそれぞれ7年・15年・16年間従事。退職後、2018年まで中国の原薬工場および国内受託企業において、改善・人材育成を含む品質保証全般に携わる。
中国での活動に、「新薬事法下の日本の医薬品品質保証体制」(2009/上海),「日本に輸出するための原薬品質の要件」(2017年/杭州)などの講演や、北京CFDA(現, NMPA)主管「医薬経済報」への「中国原薬の品質確保の視点」の連載(2012年)などがある。
取り組みテーマは「製薬工場のヒューマンエラー対策」,「中国等の海外原薬の品質と安定供給の確保」,「GMP記録の信頼性確保」,「組織コミュニケーションの活性化」,「作業者のモチベーションの確保」など。
著書に「改訂版GMP教育訓練マニュアル」(㈱じほう、共著),「3極対応/試験検査室管理実践資料集」(㈱情報機構、共著)などがある。
元,日薬連品質委員会常任委員。元,日本OTC医薬品協会品質委員会委員長。元日薬連CSV検討会メンバー。 薬剤師。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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