「造粒とは」【第3回】
はじめに
「造粒とは」【第2回】では、原薬物性の改質、原薬物性と造粒法、湿式造粒法における最適結合液量および打錠用造粒物の粒度について解説した。原薬の改質では、加藤らがモデル薬物としてアセトアミノフェン1%を含有する錠剤において、表面改質剤:軽質無水ケイ酸を用い、乳糖、結晶セルロース、トウモロコシデンプンからなる賦形剤と共に高速攪拌造粒機で表面改質したところ流動性の改善により特殊な装置を必要とせず、通常の仕様の打錠機を用いて直接打錠が可能となり、含量均一性も保証することが判明したと報告している1)。
【第3回】は、各種造粒法と顆粒特性について、同一処方で異なる造粒法を用いることで、顆粒物性にどのような変化がみられるか、また、攪拌造粒と流動層造粒のトラブル対策に関して解説する。
1.各種造粒法と顆粒特性
明ら2)は、各種造粒法による顆粒物性の比較を検討している。この検討では、造粒メカニズムの異なる4種の湿式造粒機(流動層造粒、多機能型流動層造粒、加熱転動造粒および高速攪拌造粒)とロール圧縮による乾式造粒機を用いて行い、打錠用顆粒に適した粒度分布になるよう操作は、その装置に最適な条件に設定している。処方は、乳糖・コーンスターチ(7:3)で、モデル薬物としてアセトアミノフェンを用いている。ここで、多機能型流動層造粒は、流動層造粒法に属するが、スクリーンを付帯したロータリーデスクが底部で回転し、粉末は転動流動する。ローターと独立して回転するアジテーターが付帯しており、流動化が難しい粉体の造粒に有効で、粒子は重質である。また、加熱転動造粒は、転動造粒装置で30°の傾斜ローターによって粉体に強力な遠心転動力を作用させる。装置内の昇降式の乾燥機能を有し、造粒時は上部から熱風を送りながら転動させ、乾燥時には粒子内に下降して転動させる。結合液は粒子内に噴霧され、粒子間に均一に分布する。粒子は球形で重質である。
1.1 造粒処方
結合剤としてHPC-Lを3.5%(175g)用いている。高速攪拌造粒では、結合液の粘度を考慮し一部(1.5%・75g)を粉末で加えている。表1に造粒処方を示した。
表1 造粒処方
本表は、明長良ら「各種造粒法による造粒・打錠物性比較」
製剤機械技術研究会誌,12,No.1,20-24P(2003)の表1 造粒処方と操作条件(21P)を基に作成した。
1.2 各種造粒法と顆粒物性
各種造粒法による顆粒物性を表2に示した。また、粒度分布については、流動層、多機能型および加熱転動の各造粒法が正規分布に近い形を示した。高速攪拌造粒では、湿式整粒機の影響を受け、710μmオンが多く発生した。スクリーンを小さくすると75μmパスが増加し、全体的にブロードになる傾向を示した。乾式造粒では、710μmのオシレーターで整粒されていて、機能上一次粒子に戻りやすいことが確認された。見かけ密度に関しては、高速攪拌造粒が最も重質な粒子となった。流動層造粒が小さな値を示した。
表2 各種造粒法による顆粒物性
本表は、明長良ら「各種造粒法による造粒・打錠物性比較」
製剤機械技術研究会誌,12,No.1,20-24P(2003)の表2 各種造粒法による造粒物性比較一覧表(22P)を基に作成した。
流動層造粒機で重質な粒子をつくること、また高速攪拌造粒機で軽質な粒子をつくることは、それぞれの造粒機の機能・操作面から難しいので、目的・用途に応じた造粒装置を選択する必要がある2)。
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